桂調査委員会による最終報告書は、作成に向けた努力の経過はどのようなものであったのであろうか?
アンチ小保方、アンチ若山研究室、アンチCDB派の学者たちがいたであろうし、逆に、ねつ造スキャンダルを避けたい学者たち、小保方擁護派の学者や事務方も参加したであろうと思われる。
報告書の書きぶりに、対立する勢力同志のせめぎあいが感じられる。
強く、ねつ造を示唆する部分と、ねつ造を回避しようとする部分が混在しているのである。
この報告書は、今後も、未来永劫に訂正がされることはないのであろうか?
事件から2年以上がたったが、この報告書は、自由参加の議論の対象となることもなく、問題点が提起されても、報告書に追加や訂正などが考慮されること無く時が過ぎている。
科学的論文であれば、その後に発見された新しい事実で、過去の論文はどんどん上書きされていく。
かつての論文の結果が、間違いであることが証明されたり、逆に、論文発表時は、信じられなかった結果が、その後の進歩で見直されたりしたりもする。
桂調査委員会の報告者は、当時、理研の粋を集めて事件解決の道を示そうとしたものであろう。
当時、調査の結果発表は、学者(専門家)、マスコミ(非専門家)、一般人(非専門家)を納得させるものでなくてはならず、批判の渦が起きぬよう、世界に向けて正しい答えを発信しなければいかなかった。
反対論が渦巻く論文の正誤を扱う場合、「やはり正しかった」というより、「間違いでした」という方が容易だ。
反対派は、命がけで反対を主張してくるので、論文を守ろうとする側は、その時の技術レベルでは証明できないことが多い。
証明できなかった研究の正当性を主張するためには、研究者は将来に向けて、実験精度を高めて何度も挑戦するしかない。
しかし、このSTAP事件の特異性は、若山研究室が二度とこの実験のチャレンジをしようとしないことである。
本来、生物科学では、次々と新しい実験を行い、過去の実験を超えていくものである。
そのため、過去の実験や、再現実験にこだわっていることはできない。
しかし、今回の特殊なケースのように、あえて再現実験をする場合、小保方氏には酸浴後の細胞の初期化実験だけで十分だったはずである。
若山研究室が参加しないキメラマウスの実験など、最初から必要なかった。
若山氏が参加しないなら、初期化後のキメラ実験は無しですむ。
実験を計画した学者たちは、キメラマウスの実験は意味が無いと強く主張してほしかった。
そうすることで、小保方氏が幹細胞作成に関与していないことが、一般人に明らかになるからである。
つまり、STAP事件の軸は、若山氏なのである。
小保方氏はレター論文には関与できなかったため、あれこれ指摘されても汚名を一身にかぶるだけであった。桂調査委員会は、誰がどのパートの実験をやったのかがキチンとかかれていないところに問題がある。
若山研究室の言い分を通すため、意図的にそうした書きぶりの感がある。
若山研究室の証言だけを報告書に書き込み、小保方氏の主張は無視した。
他の人からの指摘のあるように、桂調査委員会報告書に書かれたSTAP細胞の問題点は、多くが幹細胞部分なのである。しかし、報告書は、この重要な点を、あえてぼかした書き方をしている。
小保方氏が受け取ったのは生きた動物である。
小保方氏に渡すマウスと、このマウスと同じ遺伝子を持つ細胞がなければならない。
若山研究室が同じ遺伝子の動物と細胞を持っていることから考えて、クローン技術がないと作れない。
桂調査委員会は、小保方氏がマウスの遺伝子にくわしくないことを強調していながら、小保方氏を無罪放免していないのである。
幹細胞のからまないSTAP細胞は、ChIP-seqでも、RNA-seq でも、Cag-GFPの129xB6であり、Acr/Cagなどは入っていないことが証明されている。
小保方氏がいつから、Acr/Cag細胞と関係していくのは不明なのである。
しかし、報告書には、幹細胞検査と同じ日付けでSTAP細胞が検査されたのかは不明である。
実験の後期で、Acr/Cagの入ったSTAP細胞が存在するようになったかどうかはわからない。
小保方氏は、「あの日」にあるように、若山研究室から若山マウスをわたされて、STAPを作っただけなのだ。
問題となった幹細胞には、Acr/Cagがセットで入っているわけだが、このGRASが解析した大事な情報を小保方氏は知らない。
同じ遺伝子であるべきSTAP細胞と、STAP幹細胞において、実際には、遺伝子が異なる検査結果に、2012年8月の時点で、理研のGRASは気づいたはずである。
この情報は、なぜ、そのまま放置されてしまったのであろうか?
「あの日」の記載では、GRASのスタッフが親切にも、小保方氏の検体を優先的に扱うように指示をだしてくれたとある。
小保方氏は、GRASに感謝しているとの書きぶりであるが、本当のところはどうだったのであろうか?
若山氏は、幹細胞作成の秘密などを、次世代シーケンサーで明らかになることを嫌ったはずである。
この両者の板挟みで、小保方氏が困ったのではないだろうか?