このブログは、12月19日の理研の調査委員会の結論は、問題が多いことを書いています。

昨年の中盤から行われていた小保方氏を含む再現実験の目的は、STAP細胞が出現するか否かでした

それらしき万能細胞は出現しましたが、残念ながら、途中で消えてしまい、この成果は評価されることはありませんでした。今後につながるものとして、もう少し、この希望の星を、評価しても良かったと思います。

日本は、諸外国と比べて、人の教育・社会的レベルが、とても均一化している社会と思います。
格差が少ないのですが、それでも、上の層の人は、そうでない人の立場を理解しないところがあります。

大学や研究所のポストを得ている学者、さらに、教授や所長ともなれば、上層社会に属しているわけですから、一般的な価値観にうといところがあります。

記者会見での記者は、学者の考える価値観とは違うところを考えています。学者の失言から、真実を読み取りたいのです。

教授や所長なる人が、問題ある発言をしても、それに気づかず、いわゆる、世間の常識からずれてしまうのです。学者は、社会慣れしていない人が多いです。一方、マスコミは、上から下までの、全社会に生きる人を網羅しています。

深窓の学者が、専門分野以外の危機管理の大役をまかされ、マスコミから、矢継ぎ早の追及を受ければ、失言、誤認を披露してしまうでしょう。

今回の調査委員会の桂委員長は、この大役を引き受けるのは、抵抗があったと思いますが、仲間であるはずの研究者(小保方氏)に配慮を欠いたものでした。

調査委員会自身が、調査の手足を欠いていたようでした。

桂委員長は、ずいぶん時間をかけて現状を把握し、記者会見に及んだと思います。
桂氏にとって、自らの健康も消耗するような毎日ではないかと想像します。

しかし、所詮、外部の桂委員長にとって、理研は自分の組織ではないし、関係者の内情は詳しくないし、検証実験に立ち会ったわけではないでしょう。桂委員長が、調査の責任を取る立場として、広範にわたる記者の質問に的確に答えるのは、難しかったと思います。

今回の調査結果の内容の多くは、すでに、理研の関係者から提出された情報と類似したものにすぎません。
 
調査委員会が、疑惑解明の責任を果たすために、理研職員が、委員会のメンバーに向けて、データを用意し、かつ結果説明もしたでしょう。その元になったのは、理研実験室で作った検証報告でしょうから、理研作成ストリーの報告書を紹介しているだけであろうと思われます。

もし、調査委員会が、独自の調査体制を持ち、理研内部のスタッフによるすり替え説、ねつ造説も含めて検証をする気になれば、結果は違ったものになったかもしれません。

そうなると、現時点で、残存する検体は、それ自体が実験で使われた正当な検体であるとの証拠は無くなります(すり替えられた可能性)。過去にさかのぼり、すり替えが慢性的に行われていれば、すべての検体の再現性が乏しくなり、遺伝子検索の結果を得たとしても、結論を出すことができないという結果になると思います。

結論的には、故意か偶然かは検証することができず、ESが混入した可能性はあるが、その証拠をつかむことはできないという結論になると思います。

ESとTS細胞をまぜて、キメラができるか?などの実験は、やられていません。
理研のストリーでは、もし、実験をやれば、成功しなければならないのです。
成功しなければならない難しい実験など、やってくれる技術者がいないでしょう。
成功しなければ、やり方が悪いと言われるだけなのです。
再現実験も、遺伝子解析も、高度に専門的で、根気を要する作業です。

証明できないES、TS細胞混入説を、結論に盛り込んではいけないと思います。ES、TS細胞混入説を採用するなら、再現実験をして、ES,TS混合細胞が、胎盤形成する証明作業が必要でした。

成功しなければならない再現実験など、誰もやりたくありません。そうした意味では、社会的信用を失った小保方さんが、その名誉回復をかけて行った再現実験は、涙ものだったと思います。

新規科学の実験とは、再現性は問われないのです。教科書にあるような再現性の確立された実験では無いのです。クローン羊のドリーも、発表後しばらくの間、ねつ造説が出回って科学者を悩ませたという歴史があります。

小保方氏の行ったSTAP細胞の再現実験は、成功しなかったのですが、そうだからと言って、STAPねつ造とは言えません。
現実には、酸につけて未分化型の細胞の再現には成功しているのです。それが、まったく評価されていないのは、悲しいことです。

新規性の高い課題を追及する科学コミューニティの考え方を、調査委員会の結論に盛り込むべきだったのではないでしょうか?