テレビのチャンネルを回していると、時々、放送大学の講義が出てくる。じょうずに話す先生もいるが、そうでもない先生の場合は、語りが続かず、聞く側は、言葉を待ちきれなくなる。
放送される内容は、さまざまであるが、最近は、学問なるものの幅が広がったように思う。放送大学は、そうした時代のニーズを担いながらも、講義は学問であると謳っている。
それでは、学問とは何か?であるが、とどのつまり、人が好きなものを追求していくことに他ならない。だから、ジャンルは何でも良いのである。
但し、学問は、証拠を示して、その正当性を証明する義務は負う。
興味と余裕がなければ、学問は成り立たず、そうした意味では、小保方さんの制限付き研究は、とても気の毒であった。
マスコミは、スタップ細胞は無かった!、理研も無かった!と確定したかのように報道するが、結論が出ているわけではない。今後、検証することもできない。
万能細胞の研究は、今後も続くし、新しい万能細胞も出ている。スタップ細胞と似たような細胞もあらわれるだろうが、もはや、スタップとネーミングされることはないだろう。
しかし、彼女が嘘をついていると思う人も少ないだろうと思う。気の効いたキャスターなどは、スタップ細胞は、科学だから、今後の展望に期待しましょうと結ぶ人も多い。
小保方さんを取材しているマスコミ関係者の女性が、小保方評を本にした。
このマスコミ関係者は、小保方さんは机周りの本が少なく、実験ノートも少なく、他の研究者とは様相が違うと言う。しかし、30歳そこそこの駆け出しの研究者である小保方さんは、論文の書き方に未熟だったり、積み重ねの実績が少なくてもあたりまえだと思う。
マスコミ関係者は、実験の現場にいるわけではないし、研究者と本音で会話をかわす立場でもなかろう。そうした人が、表面的な事実を暴露して、自らの印象や感想を書いて本にした。
本は、マスコミ関係者の思い(推測)を書いているに過ぎないのだ。その目的は、本を売りたいからであるが、この本のライターも、思いこみを書いているにすぎないのだ。
小保方さんは、「スタップ細胞はあります」と言ったが、この言葉は、思いこみかもしれないが、推測ではない。小保方さんは信じている。しかし、マスコミ関係者の本は、推測であり思いこみである。
小保方さんの本や実験ノートが少ないなどの観察は、証拠でも何でもないのだ。
このマスコミ関係者が、本を書くなら、「小保方さんは嘘をついています」の証拠をつかんで、それを本を書くべきだ。しかし、マスコミは、確証する手段は持たないし、確証するまで待ったら、何も書けなくなり、商売にもならない。
さて、学問とは?の話しに戻るが、放送大学の講師に、「私の専門は、美学です」と言っている講師がいた。美学が専門と言ったこの先生は、自ら、「美学とは何か?」を説明していた。
彼の説明によると、要は、「僕が美しいと思うものは、すべてが美学です」であった。
まさに、「学問とは、人の興味と余裕である」ことを立証する言葉である。
話が変わり恐縮であるが、世の中には学問を装った金儲けがある。特に、医療・健康の分野では、その嘘たるや、群を抜いていると思う。
商売のための、サプリの広告や、整体施設の手技を、根拠のある科学であるかのように装うなどがある。テレビのOTC薬(風邪薬などの一般薬)の広告は、人々に、薬が病気を治すという誤解を持たせる(薬が無いと、病気が重くなるとの誤解を誘う)ように、作られている。
健康食品としてヨーグルトが、病気を防ぐなどの話しも良く聞く。
ヨーグルトが、アレルギーの予防効果を持つ事実についても、専門誌に論文があるのは確かである。
しかし、その効果については、まだ、混沌としている。
かなり以前のことではあるが、ヨーロッパで小児のアレルギー学会があった時に、あるセッションで、腸内細菌を赤ちゃんに投与して,アレルギー予防効果がでたとした過去の論文を、批判する議論で盛り上がっていた。
北欧の大学の予防効果を示した論文が議論されていて、争点は、限られた研究グループで作られた論文では、信頼性が薄いというような議論であった。その大学の後継者たちが、もはや追試研究(さらに確かめる研究)をしていないなどの発言もあった。
人の腸内細菌と病気との関係との研究は、民族、年齢、食物内容などで、腸内細菌が影響をうけるため、世界に共通する研究成果を出すのは難しい。
腸内細菌は培養出来ないものを多く、検証は、真にむずかしい。長い時間がかかって、結局、研究成果が否定されることが多い。
人は、無菌の状態で生まれるが、母親の膣を通れば、その時点で、腸内に菌が入る。帝王切開であれば、赤ちゃんが最初に触れた布や人の手から、腸内に菌が入る。そして、瞬く間に、菌は赤ちゃんの腸内で大量に増殖し定着する。
人はそれぞれ固有の腸内細菌を持っている。乳児の腸内細菌は、離乳食の影響を受ける。
ビフィドバクテリアと呼ばれる菌が主体であるが、3歳を過ぎる頃から、成人型の腸内細菌に移行する。そして、この形成された腸内細菌は、普通の状態では固定的である。
つまり、大量に抗生剤を飲み続けるとか、免疫が弱るとかない限り、腸内細菌バランスはゆるがない。この多様性が、人の健康を維持する。
そして、老化と共に、腸内細菌は変化する。人の寿命が尽きるのと並行して、腸内細菌もバランスがくずれるのである。老化していなくとも、腸内細菌の多様性が崩れた時は、クローン病や、潰瘍性大腸炎などが起きてくる。
腸内細菌が固定的であるということは、人の腸は、外から入ってくる腸内細菌を簡単には寄せ付けないということだ。つまり、食べるヨーグルトなどの影響は、期待できないということである。
(もし、乳児期からのあるヨーグルトを食べ続ける食環境があれば、その人の腸内細菌に影響を与えるかもしれないが・・・。)
日本人が、時々、食べるヨーグルトなどでは、腸内細菌に影響を与えることは難しそうだ。
腸内細菌は、それぞれの菌が増殖し生存し続けるための栄養素が必要であるが、それはお互いに融通し合っている。人の腸の細胞や、他の菌の酵素などを借用して、栄養素をあげたりもらったりしているらしい。
その結果、特定な菌だけが増殖するのが防げる。多様な菌がいることでバランスがとれるのである。
たとえば、クロストリジウムデフィシル菌というのは、抗生剤後の腸炎の原因菌として有名であるが、これが増えると、壊死性腸炎という恐い病気を起こすことがある。
人は、胆汁酸からこの菌の増殖を防ぐ物質を作り出したりしていている。特定な菌のみが増えないように防ぐしくみが、幾重にもある。
しかし、菌自体にも、自らが独占的に増殖する力はあり、増殖に害がある腸内物質を壊す能力も備わっている。抗生剤で他の腸内細菌が減ってくると、クロストリジウム菌がのさばってきて、細菌同志で融通しあっている栄養素のやりとりも狂ってくるらしい。
以前のブログで、慢性腸炎に、他人の便で治療するという話を書いたが、もろもろの腸内細菌のバランスがとれた状態を、他人の便からいただく治療法なのである。