前回ブログでは、思春期の女子におきてくる性ホルモンの増加に伴って、心の不安定が増してくることを紹介しました。
この時期は、心が安定するための脳内ネットワークを築いていく過程で、大事な時と思われます。以前のブログでも、思春期には、抑制性のニューロンが形成され、過度の神経細胞の興奮がさけられるようになるとの話をしました。
統合失調症は、思春期の男児で発症しやすいのですが、性ホルモンが増加してくる思春期に、彼らの心は、どのような影響を受けるのでしょうか?
思春期のタイミングは、初潮と初回射精の始まりをもって判断することが多いですが、思春期発来のタイミングとメンタルトラブルが関連することは、かなり以前からわかっていました。
1994年に発表された論文でも、カリフォルニアの思春期女子で、思春期が早い早熟女子は、より早く飲酒や喫煙を始めてしまうとの発表がありました。
12.2歳より手前で思春期発来した(早熟)女子では、最初の飲酒年齢は、12.5歳となり、遅く思春期が発来した仲間の女子より、0.7歳、初回飲酒が早くなりました。飲酒量が中等度まで増える時期は、早熟女子は、13.7歳で、遅く思春期が発来した仲間の女子より、0.9歳早くなりました。早熟女児の喫煙は、12.8歳で、遅い思春期発来の女子より0.6年、喫煙が早くなりました。Arch Pediatr Adolesc Med. 1994;148:789-95. PMID: 8044254
米国では、早く思春期が発来した女子は、ストレスへの感受性が増すためか、飲酒、喫煙の時期が早いようです。不安を感じやすい女性の心が強まるからでしょう。
次の論文は、うつ、非行、薬物依存、麻薬依存などが、思春期発来時期と関係するかについての、フィンランドからの最近の報告です。J Youth Adolesc. 2011;40:1288-301.
フィンランドの青春期男女2,070人の観察研究です(平均年齢15.5年、56.4%は女性)。彼らに、薬物使用、アルコール、喫煙、大麻使用に関連するいくつかの質問をしました。思春期発来のタイミングにおける標準年齢は12-13歳であり、14歳以後の発来であれば、思春期遅延と判断し、11歳以前であれば、早熟と判断して、彼らを、正常、遅延、早熟の3分類しました。
思春期発来のタイミング時期と、薬物使用や問題行動の関連を調査しました。彼らのうつ症状の発症、怠慢、非行、攻撃性、親との関係を調べました。
結果は、男子で、思春期発来時期と、薬物や問題行動との間に関連がみられ、両者の関連は、その男児が17歳の時点まで続いていました。
一方、女子の間で、15歳の時点で、思春期発来の早期タイミングは、薬物使用や問題行動と関連しましたが、両者の関連は、その後は続きませんでした。
男子では、早期に思春期が来てしまうと、思春期以後にも問題となる行動が多くなりますが、女子で、青春期以後には、早熟の影響は薄れていました。PMID: 21533658