病気の調査法のひとつに、電話調査というのがあります。
 
病気の実態を、偏りなく把握するために、無作為に選んだ電話番号に問い合わせの電話し、家族の病気の実態を教えてもらうものです。回答を断わる人については、調査はできません。この方法は、病気の調査法としては、客観性が高いとされています。
 
カナダの電話調査による、食物アレルギーの実態の論文を紹介します。
 
食物アレルギーは、世界的にも診断間違いが問題になっていて、悩みは全世界共通のようです。この論文は、そうした点についてもふれています。
 
このカナダにおける調査によると、小児は、ミルク、ピーナッツ、木の実が主要な原因食品で、日本のように鶏卵が年長児まで多くないようです。日本での除去が、日本の卵アレルギーの多さに関連しているのかもしれません。
 
2010年に、ピーナッツ、木の実、魚、甲殻類に対するアレルギーの実態を調査するため、無作為に選んだ全カナダの家庭に、電話による調査結果を発表しました。研究のネーミングは、SCAAALAR研究です。
 
10か所のカナダの地域において、ランダムに電話番号選び、電話します。2008年‐9年3月の間で、電話インタビューを行いました。家庭の誰かに、食物アレルギーがあるかどうかを尋ねました。
 
予測因子は、多変量回帰分析によって確認しました。調査を完了した10,596人の家族のうち、3,613人が調査を終了しました(35%の回答率)。回答の対象となった人の総数は、9,667で、成人7,469人と小児2,198人でした。 9,667人のうち、8.07%(95%のCI(7.47%-8.67%))は、少なくとも1つの食物アレルギーを報告しました。
 
成人における、単独のミルク、卵、小麦、大豆アレルギーは、他の診断名の病気が入る危険がありますので、それをさけるため、除いた検討をしました。
 
食物アレルギーの頻度は、全体で6.69%(95%信頼区間CI(6.15%-7.24%))となりました。
子供たちの食物アレルギー7.14%(95%信頼区間5.92%-8.36%)
、成人の食物アレルギーは6.56%(95%信頼区間5.99%-7.13%)でした。
小児では、ミルク、ピーナッツ、木の実が多く、成人では甲殻類、フルーツ、野菜でした。
 
食物アレルギーがいると報告した回答者の家族は、そうでない家族と比べて、教育程度が高く、生まれはカナダの人が多かったです。
 
オーストラリアの研究は、高学齢やオーストラリア人の生まれの人に、喘息、アレルギー、アトピー罹患率高い理由として、次のような要因が考えられるとしています。

(1) 食物アレルギーの知識がある。
(2)抗生物質を多く使用し、衛生環境が良いと、アレルギーの起きやすいTH2反応が優勢になる
(3)米国の小児科学会が、アレルギーを起こす食品の導入を延ばすような勧告を以前はしていたので、離乳食への食品の導入が遅れた (今は米国も改訂されている)
 
このような考察の結果、本論文では、以下のように結論します。
 
カナダ人の6.67%が食物アレルギーを報告しましたが、実際は、本物の食物アレルギーは、もっと少ないのではないかと思われます。実際にアレルギーはなくとも、アレルギーであると思っているだけの人は、不必要な食事制限を続けているもしれません。
食物アレルギーに関して、正しい診断とフォローアップが重要です。