2012年4月に書かれたオーストラリア家庭医41巻に掲載された論文を紹介します。
オーストラリアは、喘息の罹患率が高い事で有名で、吸入性、食物性のアレルギー疾患が他国と比べて多いことがしられています。
このオーストラリアのおけるアレルギー増加は、先進国特有の傾向のひとつですが、その原因は、いろいろ推論があります。先住民も移民も、近年の衛生環境の大きな変化が、人の免疫系に影響しているのではないかとの推論があります。
オーストラリアでは、この20年間で、食物アレルギーが2-12倍に増え、その原因の9割がピーナッツと卵です。ピーナッツアレルギーは3%、卵アレルギーが8.9%です。原因のひとつとしてかんがえられることが、離乳時期に、食品の導入が遅れることではないか?が浮上しています。
オーストラリアは、世界でも先駆けて、乳児の免疫の変化をコホート調査で証明した国です。乳児期の限定した生後半年前後が免疫反応しにくい時期とのことです。これをウィンドウ期間と呼びます。
実際に、生後4-6か月にピーナッツ導入することで、アレルギーの発症が減らせたとの論文があります。
WHOは、2001年、母乳のみ限定栄養が望ましい時期として、従来の生後4-6か月までを、生後6カ月までに変更しました。その根拠として、母乳影響が長い乳児においては、胃腸・呼吸器病の減少、乳児突然死の低下、IQの向上、糖尿病、アレルギーの減少などが期待できるからでした。
セリアック病(小麦蛋白による消化管における免疫病)も、小麦の導入が生後6カ月後の遅れることにより、その発症が高まるとしています。
つまり、生後4-6か月の乳児は、母乳以外の食品を受け入れる胃腸のしくみが整うようになるとのことです。ですから、この時期が、食品にアレルギーになりにくい時期と考えられているのです。
WHOは全世界の子どもを対象にメッセージを発信しています。衛生状態の悪い発展途上国では、無菌状態の出たての母乳を赤ちゃんが飲むことにより、感染症のリスクを避けられます。衛生状態が悪い国では、飲料水も含め、子どもに安全な離乳食を確保できません。
又、低い衛生環境で生まれた赤ちゃんは、母親から引き継いだ免疫系が、悪い衛生状態に耐えられるための能力を、赤ちゃんに授けます。病原体からの攻撃の多い発展途上国の子どもは、アレルギーが少なくなっています。
ところが、こうした環境汚染による免疫刺激は、先進国には期待できません。
オーストラリアでは、乳児栄養法について、WHOとは若干、異なった指導要綱になりました。
母乳の継続は望ましいとするものの、2011年に、乳児のウィンドウ期間を根拠に、離乳食(固形食)を、6か月前後(その後、4か月も)に導入した方が、アレルギーやセリアック病を減らせるとしました。この時期には、母乳栄養と併用するのが望ましいとしたのです。