アレルギーを調べる検査としてのRAST(特異IgE)の測定は、信頼性の高いものです。
しかし、実際には、RAST検査の結果の解釈には難しいものがあります。IgEが陽性となっても、必ずしも病気であるとは限らず、その解釈には混乱が起きることがあります。
測定するキットの精度や感度にもばらつきがあり、結果には多面的な説明が必要です。

一般的に、実際の病気の発症より、検査の方が先に陽性となることが多いです。すなわち、検査では陽性でも、実際の病気の症状はないというものです。スギ花粉症なども、検査では陽性でも、花粉症の出ない人は多くいて、検査陽性者の約半分の人しか、発症していません。
 
症状のある人では、IgE検査値は高い傾向にありますが、病気の発症には他の要因も関係します。
IgEを作り始めても、途中で止めてしまう人が多くいます。花粉症の検査が、毎回数値のばらつく経験をお持ちの人もいるでしょう。
 
特に、乳児の卵、ミルクに対するアレルギー反応は、5歳位までには消えてしまうことが多いです。
 
人には、過剰な反応を抑える能力があります。つまり、アレルギー物質と接触することにより病気の発症は抑えられます。自然に起きてくる減感作(アレルギーが消えていくこと)は、アレルギー病の現象の一面ですが、予期が難しく、すべてに適応できません。
 
ペットアレルギーを避けるためにペットを飼いましょうは、問題があります。感作はさらに進むと考えた方が良いと思われます。すでに、ペットアレルギーが発症している人では、アレルギー発症を抑える働きの弱い人であることが、すでに証明されています。
 
早期発見早期治療は、アレルギーの場合は、必ずしもあてはまらないことがあります。
 
このような複雑な様相を示すアレルギー病ですが、その見極めには、コホート調査や疫学研究の結果を、よく見つめるということが大事でしょう。
 
胎児期の生活環境と、生まれた後の生活環境にギャップがあると、アレルギーが発症しやすいと推論されています。衛生環境が悪い国で妊娠し、先進国の清潔環境の良い環境で、子供が育つ、あるいはその逆、というような環境ギャップは、子供の免疫の調整がひずみやすいと考えられています。
 
さて、前置きが長くなりましたが、欧米で多いピーナッツ・ナッツアレルギーですが、アジアの子供のピーナッツ・ナッツ状況についての論文を紹介します。 J Allergy Immunol 2010;ChekらPubMed20624649
 
検査の対象となったのは、4-6歳と、14-16歳の生徒たちで、シンガポールで生まれ育った子供と移住してきた子供、そしてフィリピンの子供たち23425人が参加しています。
 
シンガポールで生まれ育った子供は、フィリピンのこどもと比べて、ピーナッツ・ナッツアレルギーが多いという結果にはなりませんでした。それぞれのピーナッツ・ナッツアレルギーの頻度は、ピーナッツ・ナッツの順で、シンガポールで生まれ育った子供の4-6歳0.64%と0.33%、14-16歳になっても、その頻度は増えませんでした。フィリピンの14-16歳の子供では、ピーナッツ・ナッツアレルギーの順で、0.43%と0.33%でした。
 
一方、欧米で生まれたシンガポールの子供は、アジサで生まれた子供と比べて、ピーナッツ・ナッツアレルギーが多く見られました。
ピーナッツ・ナッツアレルギーになる確率は、4-6歳では、ピーナッツ3.47倍、ナッツ10.4倍、さらに、14-16歳になるとピーナッツ5.56倍、ナッツ3.54倍の数値でした。