このブログでは、コホート研究が、時々、紹介されます。
専門家や権威ある人の意見ではなく、実際の病気を、注意深く年余にわたり、観察することで導き出される結果を、計算値で評価し、それを真実とする欧米的な医学です。
今回もそうしたコホート研究の結果から導きだされた離乳食と食物アレルギーの関係についての論文です。
生まれた子どもが、どの月齢で何を食べ始めたかを調査しました。遅く離乳食を始めたグループでは、子供が5歳になったとき時のアレルギーが増えているという論文の紹介です。Pediatrics 2010;125:50
糖尿病が多い北欧の国(フィンランド)において、子どもが生まれる前から、1型糖尿病の経過について、注意深い観察研究ガおこなわれていて、実は、今回のアレルギー研究は、そうした糖尿病のコホート調査から付随的にでてきた結果です。
北欧で多い小児の糖尿病は、1型と呼ばれるもので、日本に多い生活習慣病としての2型糖尿病ではなく、重症で、乳幼児期から始まる先天的な影響が大きいタイプの糖尿病です。
この病気は、何らかの原因で膵臓に対して自己免疫が働き、インスリンをつくる細胞を働かなくしてしまう病気です。こうした危険性を持つ新生児を、1994年に、約1000人ほど集めておいて、この子供たちの免疫状態をチェックしながら、5歳まで観察しました。
研究のメインは、どのような条件の離乳食の内容が、5年後に、糖尿病やアレルギーなど、もろもろの病気の発症と関連するかを検討しました。
この子供たちの5歳時のアレルギーの保有と関連していたのは、離乳食に以下の各種の食品を導入した時期でした。
フィンランドでは、ごく普通の食べ物である、ポテト、フルーツ、小麦、大麦、卵白、魚、肉の離乳食導入時期や母乳継続期間が、5歳時の吸入性、食事性アレルギーと関連しました。
ポテトは、生後4カ月を超えて、離乳食に与えると、食物アレルギーは2.56倍。
オート麦は、生後5カ月を超えて離乳食に与えると、食物アレルギーは1.82倍。
ライ麦は、生後7カ月を超えて離乳食に与えと、食物アレルギーは2.3倍
小麦は、生後6カ月を超えて離乳食に与えると、食物アレルギーは1.49倍。
魚は、生後8.2カ月を超えて離乳食に与えると、食物アレルギーは2.42倍。
卵は、生後10.5カ月を超えて離乳食に与えると、食物アレルギーは2.2倍。
オート麦は、生後5カ月を超えて離乳食に与えると、食物アレルギーは1.82倍。
ライ麦は、生後7カ月を超えて離乳食に与えと、食物アレルギーは2.3倍
小麦は、生後6カ月を超えて離乳食に与えると、食物アレルギーは1.49倍。
魚は、生後8.2カ月を超えて離乳食に与えると、食物アレルギーは2.42倍。
卵は、生後10.5カ月を超えて離乳食に与えると、食物アレルギーは2.2倍。
ポテト、肉、魚の遅れは、特に、5歳時の吸入性アレルゲン(ダニ、ハウスダスト、花粉)の感作と関連しました。
フィンランドでは、日本とは離乳食の進め方は違っていると思います。乳児の離乳食において、どの月齢で、何を食べさせるのかは、国ごとにちがいます。これはあくまで、フィンランドの成績であり、対象となったのは、将来糖尿病の発症が疑われる子どもとなっています。
すなわち、食品などに対しても抗体反応しやすい子どもたちなのかもしれません。こうしたリスクのある子どもたちでは、健康児では見れない、はっきりした結果がでている可能性があります。
多くの健康な子どもには、調節能力が高く、食品に対してアレルギーの抗体をつくりにくく、アレルギーは発症しにくいと思います。つまり、健康な子どもを観察していても、病気の発症の経過がわかりにくいかもしれません。
人は何に反応してしまうのか?を見極めるに参考になります。
赤ちゃんにとっては、胃腸に入ってくる食品は、それを待ち受ける胃腸の細胞にとっては、最初のうちは、異物となります。しかし、胃腸の免疫細胞は調節能力が高く、嘔吐や下痢などの症状が起きないように調整されています。
この論文では、子どもの腸内に食品抗原が侵入しても、1歳未満では反応しにくい限定的な期間があり、しかも、そうした無反応期というのは、一過性であるらしいことを証明しています。
こうした観察結果の教訓から、乳児の除去食はできるだけ短期間とし、食物アレルギーがあっても、食物を負荷して、胃腸を慣らしていくという考え方が出てきたのだと思います。