昨日、咳と痰の話しをしました。気管支の奥で痰がつくられると、痰は1-2日かかって、上の方に運ばれ、気管まで痰が到達すると、咳反射がおき、咳が起こります。昨日は、痰がなくても、咳をしてしまう心因性の咳の話しをしました。
今日は痰が作られる話をします。痰はべたべたとした粘液のムチン(Muc5ac)が含まれています。痰の中には多くの細胞成分が含まれています。痰の粘液をつくる細胞は、杯細胞とよばれます。このムチン粘液をつくる遺伝子の代表は、MUC5AC遺伝子です。
喘息などでは、このムチンMuc5acは、発作の悪化を引き起こす悪玉として取り扱われています。ムチン遺伝子と喘息に関しては、多くの研究が発表されています。
それでも、粘液が体を守るために大事な成分であることは、容易に想像がつきますね。
粘液は、外界の刺激から粘膜を守る役割です。粘液は、気管支だけでなく、粘膜にも多量に存在しています。気道では、ムチン遺伝子は活性化しています。痰がでなくては、気管支炎は治りません。
胃腸の粘液は、数多くの細菌、ウイルス、寄生虫の攻撃から、胃腸の表面を守っています。
胃腸にはMUC5AC遺伝子は隠れて存在いるようですが、回虫などの寄生虫の駆除には、遺伝子が活性化します。寄生虫の感染があると、Th2型の反応もおきてきます。Th2型の反応とは、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギーの病気でおきる免疫反応と同じタイプです。
最近、日本ではほとんどいなくなった寄生虫ですが、MUC5AC遺伝子は、回虫の駆除にとても大事だという紹介です。論文は、Hasnainら、J Exp Med 20011;208:893
研究者らは、MUC5ACの遺伝子を欠損させたノックアウトマウスを用いて実験を行いました。MUC5AC欠損マウスでは、ムチン粘液がつくられません。このマウスは、回虫を体外に排除しようとして、必死に、Th2型の免疫反応を高め、サイトカインを多量につくります。しかし、マウスは、回虫を対外に排除をすることができずに、回虫の慢性感染を許してしまいます。
さらに、著者は、人間のMuc5ac蛋白が、直接的に、回虫の生存を障害させる能力があることも証明しました。