昨日、ご紹介した論文と同一医学雑誌JACIに、喘息発症に関連する遺伝子構造についての論文があります。生まれながらの遺伝子のかたちが、病気の発症に影響することを示す結果です。
インタフェロンγ産生の能力は、喘息発症を免れるために重要な鍵となることが、今回のデータでも証明されたことになります。JACI2011;128:524
簡単に紹介します。
米国には、小児のアレルギー研究に、重要な方向性を与えてきたコースト研究があります。これは、生下時より子どもたち289名を追っていくコホート研究です。喘息の発症は、インタフェロンγの能力が大いに関係し、ウイルスを殺す力の低い子どもでは、喘息が発症しやすいことが指摘されています。
小児期の喘息は、ウイルス感染をいかにじょうずに治せるかが、大事な要素です。すみやかにウイルスをノドや気管支から追い出してしまえば、炎症は長引きません。しかし、ウイルスの追いだし作業がじょうずにできないと、ウイルス感染が遷延し、反復します。又、ウイルスに限らず、抵抗力の弱い気道は、細菌が増えやすくなっていて、その制御にも手間取ります。その結果、気道炎症が続き、喘息になりやすい気管支となります。
今回のコースト研究では、対象の子どもたちが生まれた時の臍帯血と、1歳になった時の血液の、インタフェロンの産生能を調べています。その後、この子どもたちをずーと追跡して、3歳になった時、さらに、8歳になった時に、喘息症状があるかをチェックしています。
すると、予想通り、男女共、インタフェロンγの産生が良い子どもでは、喘息発症が抑えられていました。インタフェロンγが上手に作れれば、喘息になりにくくなるとする予想通りの結果が得られました。
インタフェロンγの産生は、インタフェロンγ遺伝子が作業して、インタフェロン蛋白を合成します。遺伝子は、両親から、1個づつもらった対の染色体の塩基構造から成ります。この塩基の並びには、若干の個人差があり、塩基(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)の一部が、対の遺伝子同志(相同遺伝子)で、塩基の種類が異なることがあります。
遺伝子の特定の一部分で、対となるDNA塩基が、母方、父方からのそれぞれ対の部分が、同じ塩基ならホモ、違う塩基ならヘテロと呼びます。この塩基の種類が同じか、違うかで、インタフェロンγをつくる能力が影響をうけることがわかりました。
つまり、同じ塩基(ホモ)か、違う塩基か(ヘテロ)かで、インタフェロンγの量に違いが出てきます。
女性では、ホモの子どもが、インタフェロンγ産生が悪く、男性では、ホモの子どもがインタフェロンγ産生が良かったのです。すなわち、この子どもたちが8歳になった時の、喘息の有無を見てみると、女性では、ホモの人に喘息が多くなり、男性では、ヘテロの人に、喘息が多くなっていました。
今回の研究では、遺伝子の特定部分の塩基が、同じ(ホモ)か、違う(ヘテロ)かで、インタフェロンγ産生能に、男女で全く逆の影響が出ることがわかりました。
遺伝子の型の違いが、蛋白合成能力に、男女で全く逆の影響を与えるというのは、興味ある結果と思われます。