Journal Allergy Clinical Immunolは、アレルギー領域において、アレルギー学の先端を走る医学誌です。2011年、9月号に、高齢者の喘息の特集がありました。(JACI2011;128:S4)
米国での人口高齢化に伴う喘息の罹患の上昇に対し、医療でできること何か?について、かかれた総説です。
日本でも米国でも、喘息発症は、小児と高齢者に多くなっています。小児喘息は、年齢と共に改善することが多く、20-30歳には、喘息の人は少なくなります。そのため、この時期に、喘息発作の起きる人は、要注意ということになります(つまり、しっかり、治療した方が良い)。
小児の喘息は、改善していく理由は、気道免疫の成熟によるものです。すなわち、気道(気管支)は、過剰な反応をおこさず、風邪、肺炎などの呼吸器病からは、身を守る働きが完成するからです。しかし、その後は、加齢により、獲得した免疫機能が破綻するようになります。つまり、人は、加齢をすると、気管支が過剰に反応して、ぜーぜーとなったり、呼吸器病が重くなったりしてしまうのです。症状を起こさないで、静かな健康状態を維持することができなくなるのです。
小児期に喘鳴(ゼーゼー)をおこさせるRSウイルス感染症という病気があります。この病気は、ほどんどの小児が、2歳までに感染し、感染後は抵抗力を得ていきます。幼児になると、RSウイルス感染症にかかったとしても軽い風邪症状で終わるのですが、下の子どもに感染させて、乳児は重くなって、入院したりしてしまいます。
このRSV感染症は、老人で、再び、肺炎の原因になります。孫からRSウイルスをもらったり、病院で、知らない間に、うつされてしまうこともあります。
人間は、一度、獲得した抵抗力を、やがて、失っていくのですが、若い時に直せた結核やB型肝炎が再発したりします。
Journal Allergy Clinical Immunolの総説では、加齢による、細胞の老化現象に焦点をあてて、今までに行われ、確証の高い老化研究を、簡単に紹介しています。
動物の細胞は、分裂できる回数が決まっています。人間の細胞を、一時的に分裂しない環境にして、再び、分裂できる環境に戻してあげると、細胞は、再び、分裂しますが、分裂できる回数は、一定です。
寿命の長い動物は、分裂できる回数が多くなっています。しかし、この総説によると、寿命の長さは、DNAだけが決めているわけではないようで、そのたとえとして、DNA構造があまり異なっていない、マウスとコウモリの寿命を比べています。DNAの塩基配列は、0.25%しか違わないのに、マウスの寿命は2年、コウモリは25年あるそうです。
老人の皮膚から取った繊維芽細胞を培養すると、若い人の皮膚からとった繊維芽細胞とくらべ、分裂できる回数が減少しています。ベータガラクトシダーゼという物質が、老化した細胞では増加していますが、若い細胞には見られず、ベータガラクトシダーゼは、細胞年齢を知るマーカーとして、知られています。
炎症は、本来、生体を守るための変化ですが、加齢によっても、炎症が起きてきます。有名なマーカーとして、老人で増えているインタロイキン6があります。このサイトカインは、弱った老人で増加しています。
動物の細胞は、酸素をエネルギー元にしています。しかし、この酸化ストレスは、細胞を弱らせてしまいます。
線虫をもちいた実験によると、人工的に線虫遺伝子を操作して、酸化ストレスを減らすための物質であるスーパーオキサイド・ディスミュターゼ(活性酸素を分解する酵素。生体内では肝臓、副腎などに存在する。SOD)を強化させると、線虫の寿命は長くなります。
ディスミュターゼとカタラーゼの遺伝子強化により、線虫の寿命が1/3伸ばせるそうです。しかし、残念ながら、これに一致するヒトの遺伝子は、まだ確定されていません。又、マウスでは、食糧制限をすることにより、寿命を。1/2程増やすことができます。
公衆衛生が改善すると、平均寿命は延ばせます。しかし、人の寿命が120歳が最長であるのは、知られています。今後、この寿命が伸ばせるかは、不明ですが、公衆衛生の改善で、最高寿命を延ばすのは、無理かもしれません。むしろ、生物としてのヒトを弱らせてしまうような気がします。