人は、多くの蛋白成分に反応します。これは、免疫細胞のなせる技で、異物が体内に侵入し、増殖をしようすれば、免疫細胞は、その異常構造を感知して、異物を排除できるようになっているからです。
一方で、免疫細胞は、侵入してきた異物と闘い過ぎると、体に悪い結果になることを知っているので、敵の異物と戦い過ぎないことも知っています。
体内に、帯状疱疹ウイルスや、脳内にJCウイルスなどが住み込んでいるのに、免疫細胞は、見て見ぬふりをしています。大量に吸い込む空気の中のカビも、肺の免疫細胞は、見逃しているという話を、以前のブログで紹介しています。腸内細菌もしかりで、一部の腸内細菌が増え始めて腸内の菌種の多様性が低下すると、腸は炎症が起きてくるという話を紹介しました。
これは、一人の個体で、免疫細胞が行っている妥協と協調です。さらに、生物全体にも、妥協と協調があります。誰かが、どこかの異物構造を察知して、排除に努めれば、その生物は生き残れます。
なぜ、一部の人だけ、カルミン酸に反応したり、ピーナッツやローヤルゼリーに反応するのかの答えが、ここにあります。危険を予知し、異物をみつけだしてつぶしておかないと、生命は異物にのっとられてしまいます。
危険物から逃れ、生き残るために、仲間の生物同志が違う能力を発揮し、その場に適合した誰かが生き残れば、それで十分です。必ずしも全員が生き残ることは必要ないのです。
昨今、紹介している医学雑誌 皮膚病診療ですが、この雑誌の論文は、アレルギーの勉強のための材料が満載されています。
ウニによる口腔アレルギー症候群となった20代男性の紹介です。(皮膚病診療201;33:519)
口腔アレルギー症候群という病気は、花粉症の人が、類似の構造をもつ果物・野菜により、口の中が腫れたり、いがいがを感じたりする病気です。今回は、花粉症から起きる口腔アレルギー症候群とは、違う発症機序のようです。
患者さんは、すでに、サケ・エビ・カニアレルギーのある20代の男性です。この方のIgE検査では、サケ・エビ・カニに対する反応が陽性でした。その他にも複数の魚介類にIgE抗体を持っています。
今回は、ウニを食べた直後から症状が出ました。上あごんの部分の軟口蓋に浮腫状(むくみ)となり、呼吸が苦しくなりました。
一般的なアレルギーによる呼吸困難は、喉頭浮腫とか喘息発作が多いようですが、今回はそれとは異なり、上あごの部分の粘膜が腫れて、空気の通りが悪くなりました。
論文によると、ウニによるアレルギーは、外国人も含めて、5人の症例があるそうです。生ウニ、加熱ウニ、共に症状のでることがあります。症状は、口腔内の症状が多いようです。
ウニの食用部分は、生殖腺とのことです。魚介類アレルギーの多くが、魚介の筋肉成分(トロポミオシンなど)に対するアレルギーであるので、この方のウニアレルギーは、筋肉ではないウニ蛋白に反応してしまったようです。