食物アレルギーは。食べて治す時代になり、全国の子ども病院が治療の軸となり、“食べて治す”治療が進んでいます。その結果、長い間、除去食をしていた子どもの多くは、除去食から、解放されていきます。しかし、一部には治療がうまく進まない、治らない子どもたちがいます。
 
食物アレルギーとしての病気は治まっていても、子どもの脳に、メンタルトラブルとして、食べれない状態から抜け出せない子どもいます。アレルギーは、本当に治っているのか?はたまた、メンタル症状によるものなのか?は、見極めが困難な場合があります。嘔吐、腹痛、口中違和感などの自覚症状は、子どもが不安を感じれば、アレルギーは無くとも、自覚症として出現してきます。
 
しかし、“食べて治す”治療は、100%安全と保障されるものではなく、経過には個人差が大きいです。時に、食物成分が、I型アレルギー反応より、さらに複雑な免疫反応を引き起こす場合もあります。そうした病気に、好酸球性食道炎、セリアック病、食物関連慢性腸炎などがあります。

今回は、好酸球性食道炎の論文を紹介します。
 
アレルギーが、難治化している年長児に起きてくる病気に、好酸球性食道炎があります。アレルギー専門雑誌には、スペインやフランスから、この病気の子供たちの症状の報告があります。多くは、食物アレルギーや、その他のアレルギーのある子どもたちが、アレルギー症状の軽快が望めず、アレルギー遷延化と共に、この病気が起きていきます。食道炎となる体質的な因子は推定されるものの、その機序は不明です。
 
アレルギー反応の起きている場所、食道には、白血球の成分のうち、好酸球と呼ばれる細胞が集まっています。この細胞は、傷を修復をする働きがあるのですが、一方で、傷を深くする作用もあります。
食道に、好酸球という白血球の仲間が増えてくると、線維化(固い傷を残している)という病変が起きます。線維化してせまくなってしまえば、嚥下困難なども出てきます。
 
この病気が診断されるのは、アレルギーの病気が長引いている、9歳位の子どもに多いです。そして、特徴的なのは、男児に多いと言うことです。アレルギーは、一般的に年少の男児におおく、5歳をすぎてくると、やや男女比が縮まってきます。年長児のアレルギーの男児対女児は、6:4位になるのですが、好酸球性食道炎は、8―9割が男児です。スペインやフランスなど、国は違っても、男性の優位が目立ちます。
 
J Invest Allergol Clin Immunol 2011;21:59
平均年齢9歳、17例(男児14名)の好酸球性食道炎の症例を集めて検討した論文です。現在、アレルギーがあるのは、15名、過去に食物アレルギーがあったのは、6例です。アレルギーのある食品は、卵、牛乳が多いです。卵は、現在のアレルギー12名、過去のアレルギー3名です。又、セリアック病という小麦アレルギーの合併者が、5名います。除去食や特殊食により、17名中9名が、食道炎が軽快しています。吸入用のステロイドを、飲み薬として治療に使う試みがあります。
 
日本でも、難治の食物アレルギーは、男児に多いのですが、世界的に、母親は、男児に対して、食物解除に慎重になってしまい、食物制限が長引いてしまうのかもしれません。一般的には、年長児になると、アレルギー疾患、特に喘息では、女児が多くなっていきます。
 
食物アレルギーの難治化は、何が影響しているのでしょうか?最近は、離乳食として導入される食物に、反応してしまう乳児が増えてしまい、離乳食も遅れる傾向にあります。昭和から平成にかけて、厚労省がまとめた離乳食導入時期、完了時期の数値を、グラフ化しました。
 
食物アレルギーがある子どもには、除去食が進められてきました。導入を遅らすことは、子どもの食物アレルギーを、さらに複雑化してしまうであろうと考えられています。すなわち、できるだけ、除去食の期間を短くし、異物の受け入れが容易である年少時期に主要食品に慣らしていくことが、世界中で勧められています。
 
図は、厚労省栄養調査で公表して、離乳食の導入時期の変遷です。緑の線が、平成17年、赤が平成7年、開始と完了が、右にシフトしています。遅れてきているのです。
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