親子・姉妹などの家族内に乳がんの人がいる方は、乳がんの発症リスクは、たかくなります。高くなる発症の確率は、家族歴のない人にくらべ、どの程度でしょうか?米国の乳がん検査の結果に基づき、1等身(親と姉妹)の家族内に、乳がんの発症者がいる人は、家族内に乳がんがいない人と比べて、何倍に発症のリスクがあるかを調べました。Breast Cancer Res Treat. 2011 Apr;126(3):671-8
乳がんは、受容体の状態により、タイプを分けました。受容体の種類は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、HER2受容体の3種です。すべての受容体が陰性の乳がんは、トリプル受容体陰性乳がんと呼びます。このタイプは、全体乳がんの20%未満ですが、BRCA1の突然変異のキャリヤーに多いサブタイプです。HER2+ とトリプル陰性の乳がんの患者は、腫瘍がかなり小さくても、高い再発や転移のリスクがあるようです。
1,054,466人の女性の2,599,946件の乳房X線写真から乳がん調査コンソーシアムがデータを評価しました。今回は、トリブルネガティブ乳がん、エストロゲン受容体ER+陽性乳がん、ホルモン・レセプター陰性ER-/PR-で、かつHER2を表しているER-/PR-/HER2+乳がんにおいて、比較しました。
検査を受けた40-84歳女性のうち、15%の女性に乳がんの家族歴がありました。 それぞれ診断された乳がんの数は、トリブルネガティブがんの女性の数は 705人、エストロゲン受容体陽性(ER+)の数は、10,026人でした。ER-/PR-/HER2+タイプの乳がんの数は、308人でした。
1等身の乳がんの家族歴のある人は、すべてのサブタイプの乳がんが発症しやすくなりました。その程度は、次の通りです。
トリブルネガティブ乳がんでは、乳がん発症のリスクは、 1.62倍, 95% 信頼区間 (CI): 1.54-1.70倍,
ER+乳がんでは、1.73倍, 95% 信頼区間: 1.43-2.09倍,
ER-/PR-/HER2+乳がんでは、1.56倍, 95% 信頼区間: 1.15-2.13倍
1等身内の家族に、少なくとも2人の乳がんの家族がいる女性では、
トリブルネガティブ乳がんは、2.66倍で( 95% 信頼区間 (CI): 1.66-4.27倍),
HR(ER+) の乳がんでは、 2.05倍で (95% 信頼区間 (CI): 1.79-2.36倍,
HR(ER)-(/PR)-(/HER2+) の乳がんでは、 2.25倍, 95% CI: 0.99-5.08)に、発症のリスクが高まることがわかりました。 PMID:20814817