男性ホルモンは、筋肉増強として、使われる薬ですが、一方で、強い免疫抑制剤であり、人工的投与による副作用は良く知られていました。しかし、病気によっては、うつ病などで、使用されることが、外国ではあるようです。

昨今の、アンチエイジングの風潮にのって、魔がさすように、人は、ホルモン剤に期待してしまうものです。今回は、テストステロンを投与された男性の話しです。
 
一方、女性ホルモン剤は、日常で、問題視される認識の速度が遅いです。エストロゲンは、若い女性では、多くの効用(血管拡張作用、炎症低下作用)があるため、女性に良い物質としての評価が、いつまでもつきまといます。若く美しくいたいという夢をかなえるという、幻の期待感から、女性は抜けきれません。自分の体を、自分で考えるとスタンスは、男女共に、大事ですが、リスク情報が十分に出ていないのが現状です。特に、受け身の女性で、情報が必要です。
 
閉経後の女性ホルモンは、女性の味方ではないと啓発しても、多くのマスコミは相手にせず、盛り上がりません。むしろ、女性ホルモン力などと言って、閉経に否定的です。女性ホルモンは、いつまでも、女性を若く美しく保ち、それが低下すると、病気が起きるとの幻想が消えないようです。
 
筋力がやや低下した高齢者(平均75歳)への,、6ヶ月間のテストステロン投与治験が行われ、効果、副作用が検討されました。結局、効能はあるものの(加齢した人でも、明らかな筋力増強剤)、心臓などへの負担があり、使用は否定されたのです。それを紹介します。New Engl J Med 2010;363:109

テストステロン濃度の低い65歳以上の男性(平均年齢75歳)の人を対象に、テストステロンジェルを、毎日、6か月、投与しました。対象の男性の8割に高血圧があり、心血管病は、半分に持ち合わせていましたが、その中には、心筋梗塞や、不安定狭心症を除きました。肥満は、半数にあります。糖尿病は、25%前後にありました。
 
テストステロン群は、106名、プラセボ゙群では103名でした。両者とも、8-9割が白人、BMIは、30前後が多いです。薬の前後で、胸、足、手のにぎりなどの、筋力、50m歩行、荷物を持っての50m歩行テストなどについて、測定しました。

テストステロンジェルは、10g(テストステロン100mg)とし、血中濃度が低い場合(500ng/dl以下)は、ジェルを15gに増やし、1000ng/dlを超えている場合には、5gに減量しました。性ホルモン結合蛋白量を測定し、フリーテストステロンを算出しました。

結果 テストステロン群では、心臓、呼吸器、皮膚の症状の出た人は、23人、内訳は、多彩で、死亡1名、心筋梗塞、失神、心不全、心房細動、狭心症発作、末梢浮腫5名などでした。プラセボ゙群では、死亡は無く、失神、ひん脈、高血圧、不整脈などでの5名でした。テストステロン群のリスクは、プラセボ群と比較して、心血管系は、5.8倍、皮膚系は、4.9倍でした。

テストステロンを投与された群では、足や胸の押す筋力、握力が増加し、物を持って、階段を上る力が増強しました。50mを歩く速度も増しました。