前ブログに続き、英国における百万女性研究the Million Women Studyの結果を紹介します。
Lancet. 2007 May 19;369:1703-10.
今回は、卵巣がんとホルモン補充療法との関係です。卵巣がんは、乳がんよりずっと、数は少ないですが、女性がんの4番目に位置する、死亡率の高いがんです。若い女性をピルなどで、自然の排卵を止めてしまうと、卵巣がんが減少することがわかっています。それをもって、女性のピルは、安全であると、もっていく説明がありますが、ピルの作用は、多様です。今回は、閉経後の女性の話です。卵巣内のどの部分ががん化するかにより、組織学的に分類されています。
英国在住の948,576人の閉経後の、がん発症のみられない女性を追跡調査しました。この集団の女性を、5.3 年間追跡し、死亡は、6.9年間追跡しました。
287,143人 (30%) の女性が、その時点でホルモン補充療法を続けていました。186 751 人(20%)は、過去にホルモン補充療法を続けたことがある人でした。
2273 人が卵巣がんとなり、1591人の、がん死が記録されました。卵巣がんの発症と、それによる死亡は、ホルモン補充療法群を長く続けている女性に多く出ました。がんの発症の相対危険は、1.20倍 [95% 信頼区間 1.09-1.32; p=0.0002] 、がん死は 1.23倍 [1.09-1.38; p=0.0006] )でした。
過去にホルモン補充療法をしていた女性では、卵巣がん発症や死亡の増加はみられませんでした(発症の危険リスク0.98倍 [0.88-1.11])。
ホルモン補充療法の治療をしている人が、していない人と比べると、卵巣がんのタイプにより、発症リスクが変化しました。
しょう液性の卵巣がんが、ホルモン補充療法群で多くなりました。
しょう液性 1.53 倍 [1.31-1.79],
しょう粘液性 0.72 倍 [0.52-1.00],
内膜様性 1.05倍 [0.77-1.43],
透明細胞がん性 0.77 倍 [0.48-1.23], カッコ内は、{信頼区間}
しょう粘液性 0.72 倍 [0.52-1.00],
内膜様性 1.05倍 [0.77-1.43],
透明細胞がん性 0.77 倍 [0.48-1.23], カッコ内は、{信頼区間}
女性1000人中で、計算すると、卵巣がんの発症は、ホルモン補充療法群で2.6 人(信頼区間 2.4-2.9)、ホルモン補充療法をしていない群で2.2 人(信頼区間 2.1-2.3)と、計算されました。
これは、ホルモン補充療法を続けていると、2500人に一人よけいに、卵巣がんが発症すると計算されました。卵巣がんによる死亡は、ホルモン補充療法群では、1.6人、ホルモン補充療法をしていない群で 1.3人、ホルモン補充療法を続けていると、3300人に一人よけいに、卵巣がんが発症すると計算されました。
1991年より、ホルモン補充療法が続けられていると計算すると、英国の女性では、1300人の卵巣がんが余分に多く発症し、1000人の卵巣がん死が余分に多くおきていたであろうと計算されました。