離乳食の導入を遅らせること、あるいは除去食をすることは、世界中で勧められないとする時代になりました。現在、乳児に、病気がないのに、アレルギーの病気の発症を避けることを目的に、離乳食から卵白、ミルクなどを避けることを、予防的除去と言います。
 
今までの疫学データは、除去食をしている群で、アレルギーの発症が高くなるという結果が出るものが多かったです。日本でも、母乳栄養に限定した乳児群で、湿疹の発症が高いという疫学データがあります。
 
しかし、これは、母乳にこだわる群、除去食をする群では、もともと、アレルギー素因を抱えた子供であるというマイナスの背景があることが問題になっていました。遺伝的な背景のある子どもは、アレルギーの発症は、健康な子どもと比べると多くなります。
 
比較する対象乳児の間で、アレルギー状態が異なると、除去食は、効果があるのか、無効なのか、簡単に結論をつけることはできません。世界的にも、このタイプの研究のネックになっていました。しかし、疫学データの客観性を高める手法を駆使して、比較群のアレルギー背景を同質化して、データの客観性を追求しました。そうした成果の結果、除去食は、アレルギー予防効果はなく、治療として、どうしても必要な場合に限定的除去食にとどめることになりました。つまり、予防的にはやらないという意味です。
 
それは、1歳までの乳児期が、一番、異物蛋白を受け入れやすい状態になっているからです。できるだけ乳児期に導入のチャンスをつくること、という世界的なコンセンサスになっています。世界で一番保守的だった米国小児科学会も、2005年から、方針を変えています。
 
2007年、小児科の専門誌「ペディアトリクス」に載っているオランダのコホート調査の結果は、ミルク導入を遅らせると、湿疹の増加をまねくとしています。今回は、この論文を書きます。今後も、このブログで、いろいろな乳児コホート研究を紹介していきます。
 
オランダで出生後の新生児を追跡して病気の発症経過を調べるコホート研究です。
 
妊娠時から、子どもが2歳になるまで追跡しています。研究に参加したのは2558人の乳児でした。
研究の対象となったのは、ミルクの導入時期と、その後の湿疹やアトピー性皮膚炎との関連でした。妊娠35週、生後、3ヶ月、7か月、12ヶ月の乳児の様子を追跡しました。
2歳時に、乳児の血液検査をしました。
多重ロジステック回帰分析により、ミルクの導入時期と、2歳時のアトピーとの関連をみました。ミルクの導入を遅らせることが、2歳児の湿疹を増やしました。他の食品導入を遅らせることも、2歳児のアトピーの増加となりました。
早期に湿疹や、ゼーゼーする乳児を、追跡対象から除外してしまった場合でも、結果に変化はありませんでした。
結論、離乳食において、 牛乳および、その他の食品の導入を遅らせても、アトピーの予防にはなりませんでした。