昨日のブログのつづきです。
フリーランスライターのDavid Dobbs氏による、統合失調症の記事です。
統合失調症では、ドーパミン作動性神経の発火しすぎが、症状に関係すると一般に考えられてきました。しかし、実際の脳内でおきているイベントは、ドーパミンが量的に増えすぎなのか、一人一人、かなり異なると思われます。
さらに、ドーパミンの種類や作用が複数的なものであること、他の物質との関連や脳内環境に、個々の人で、多様性があるものと思われます。さらなる分子生物学的、薬理学的な解明が必要です。現在、認可されている治療の薬剤には、限界があり、この病気の治療や介入を困難なものにしています。しかし、確実に治療性成果はあがってきています。
従来、統合失調症の治療には、ドーパミンを抑える薬剤がつかわれてきました。その逆に、ドーパミンが不足して起きる病気は、パーキンソン病でした。統合失調症の治療をすると、パーキンソン病様症状が出てくることが治療上の悩みでした、抗ドーパミン作用により、運動失調、錐体外路症状が起きてきます。又、口が渇く、胃腸障害が出るなどの症状もあります。副作用の起き方に個人差が大きく、脳内失調の様相や薬の影響の個人差は、病気の解明を難しくしています。統合失調症と呼ばれる病気でも、個々の人の脳内は、同じ状態ではありません。
昨日のブログで、統合失調症では、大脳皮質のピラミダール細胞の発火を抑えるはずのシャンデリア細胞の機能が悪いとするルイスの学説を紹介しました。
シャンデリア細胞の役割は、抑制性としましたが、ルイスは、統合失調症のシャンデリア細胞とピラミダール細胞とのシナップス伝達において、情報伝達物質がの1/4量が、減少していることを示しています。しかし、シャンデリア細胞自体も常に抑制的に働くわけではなく、時にピラミダール細胞に対し、“発火せよ!”との、興奮を伝達する場合もあると、ルイスは言っています。しかし、こうした異常が、シャンデリア細胞の本来の異常なのか?それとも、二次的な変化なのかについては、ルイスは明言をさけています。
ポートランド(メインメディカルセンター)のマックファーデン医師らは、NAPLS(北アメリカ前駆症状長期研究)と呼ばれる統合失調症の早期発見・早期治療の試みを、多施設病院が協力して2003年にスタートさせました。診断のためのツールDMS5版を用いて、思春期に統合失調症の早期発見に努め、発症リスクの高い291人を選び出しました。その結果、2.5年の間に、35%の人に、統合失調症の典型症状が現れました。
一方で、こうした早期介入のトライアルには、反論もあり、ロンドンのキングスコレッジの精神科医は、統合失調症にならない人を治療に巻き込む可能性があることを指摘しました。早期介入は、実際には発症につながらない人までも、治療の対象となるので、その人自身、家族、友人関係に問題を残すと反論でした。
研究者たちは、統合失調症は、これが原因であると決めたがる傾向があるが、ふりかえってみると、最初の理論通りにはなっておらず、もっと研究者自身がどこにいるのかを見極める必要があるという言葉で、記事が結ばれています。
このネーチャー記事に載っていた統合失調症の初回入院が、どの年齢に多いかを示した概図を載せます。米国の話しです。
