乳頭状甲状腺がんにおける発癌のイベント
がんは、どのように生じてくるのでしょうか?このところ、毎晩のようにブログをお送りしています。放射線を浴びると、がんのリスクが増えるのですが、それは、細胞が異常に増殖できる能力を獲得してしますからです。放射線を浴びた人の方が、染色体異常が積み重なって起きています。小児では、被ばくして5年位でがんが診断されていることから、がん細胞が増殖して大きくなり、診断される(人に見つかる)までには、その位の期間が必要なのだろうと思います。がん細胞は生き残る能力を獲得しないと、人の免疫や薬で消されてしまいます。がん細胞の増殖・転移には、どのような遺伝子変化を獲得していかなければならないか?
がんは、どのように生じてくるのでしょうか?このところ、毎晩のようにブログをお送りしています。放射線を浴びると、がんのリスクが増えるのですが、それは、細胞が異常に増殖できる能力を獲得してしますからです。放射線を浴びた人の方が、染色体異常が積み重なって起きています。小児では、被ばくして5年位でがんが診断されていることから、がん細胞が増殖して大きくなり、診断される(人に見つかる)までには、その位の期間が必要なのだろうと思います。がん細胞は生き残る能力を獲得しないと、人の免疫や薬で消されてしまいます。がん細胞の増殖・転移には、どのような遺伝子変化を獲得していかなければならないか?
放射線障害により発症する発がんには、自然発症するがんで起きる遺伝子異常とは、異なることもわかってきました。こうしたがん細胞のいろいろな遺伝子変化は、以前の技術では調べられませんでしたが、今は、細かなところまで遺伝子検査が可能となっています。そのため、以前から保存していたがん細胞を、再度、取り出してきて、遺伝子検査を追加検査することができます。
人が生活のための水や電気を引くと同じように、がん細胞が体内で増殖、転移していくためには、栄養血管を増やし、増殖のための足場を確保していかなければなりません。がん細胞は、自らの増殖に有利な遺伝子をふやしますが、大きな遺伝子変化が起きないようにします。あまり、遺伝子がかわってしまうと、大事な細胞代謝の能力が失われてしまうからです。遺伝子再編成(リアレンジメント)といわれる遺伝子変化は、1塩基置換などとは異なり、大きなイベントである遺伝子変化です。すなわち、ある長さのある染色体が壊れ、一旦、ばらけた後、遺伝子が再度、かきあつめられて並べ直された(再編成)遺伝子です。したがって、大きな遺伝子の欠損・脱落が起きることになります。原爆のように、大量の放射線を浴びるような一度の大きなイベントでは、細胞が一気に破壊されますので、点変異のような小さな変化でなく、複数の遺伝子再編成が起きるようです。
細胞分裂を促進する活性型プロテインキナーゼ代謝は、RET、NTRK1、BRAF、RAS遺伝子が関連します。 被ばくと早期に発症する小児甲状腺がんと、成人の甲状腺がんは、遺伝子異常に違いが見られます。小児の乳頭状甲状腺癌において、主要な発がんのイベントは、RET/PTC遺伝子におきる再編成です。この再編成は、放射線被曝の有無と関係なく起きています。一方、成人発症型の乳頭状甲状腺癌においては、BRAF(V600E)遺伝子の1個の塩基が入れ替わる点変異が起きていますが、再編成は起きていません。この点変異が、成人の発がんを決定づける大事なイベントです。下部に、実際の論文を示します。
Cancer Res. 2008;68(17):7176-82.
今回は、被爆者50人と、被ばくのない21人を含む71人の乳頭状甲状腺癌の細胞において、RET/PTC再編成とBRAF(V600E)突然変異を調べました。 がん細胞では、RET/PTC遺伝子の再編成は、被ばくした放射線量が増加するに関連して増加していきました(P= 0.002)。一方、高い放射線量(P=0.001)に暴露された人では、RET/PTC遺伝子の再編成が先に起きており、BRAF(V600E)遺伝子の突然変異は、頻度が低下していました。 RET/PTC再編成のある発がんは、より早期に発症しました。RET/PTC再編成は、放射線に関連して生じやすく、早期の発癌に重要な役割を演ずるものと思われます。これらの調査結果は、多変量ロジスティック回帰分析によって確かめられました。
PMID: 18757433
今回は、被爆者50人と、被ばくのない21人を含む71人の乳頭状甲状腺癌の細胞において、RET/PTC再編成とBRAF(V600E)突然変異を調べました。 がん細胞では、RET/PTC遺伝子の再編成は、被ばくした放射線量が増加するに関連して増加していきました(P= 0.002)。一方、高い放射線量(P=0.001)に暴露された人では、RET/PTC遺伝子の再編成が先に起きており、BRAF(V600E)遺伝子の突然変異は、頻度が低下していました。 RET/PTC再編成のある発がんは、より早期に発症しました。RET/PTC再編成は、放射線に関連して生じやすく、早期の発癌に重要な役割を演ずるものと思われます。これらの調査結果は、多変量ロジスティック回帰分析によって確かめられました。
PMID: 18757433