ブリャンスクは、1986年のチェルノブイリ事故の後のロシアの中で、最も高い放射能汚染地区のようです、そこでは、多くの小児の甲状腺がんの発症がありました(すでにブログで紹介済み)。このブリャンスク地域の成人における甲状腺がんの疫学データがありました。事故時、この地域に居住する人1051人に(ほとんどが組織学的に確診)、がんが発症しました。1989年の国勢調査では、この地域の15-69歳の居住者は、100万人とされています。
成人の場合は、小児より甲状腺がんの発症率が低く、特に周りの地域と比べて、この地域が突出して高い発症率とはならなかったようです。(たぶん、周りの地域の発症もそこそこ高かったためか?)いろいろ、放射能量だけでなく、他の気象条件があるのかもしれません。浴びた放射線量とがんの発症について、1Gy当たり、がん発症の増加の確率を算出した場合、男性のみ、放射線量との相関がみられています。
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この地域に住んでいた人の甲状腺線量は、ロシア公的文書に基づく測定評価法2000年版を用いて算定されました。チェルノブイリ事故後、5年の潜伏期をおいて、1986 から1998年に1,051件の甲状腺癌が発症しました。(1991年から1998年までは、769人でした)。
組織学的にがんが確定できたのは、87%と95%でした。男性においてがん発生率(SIR)は、1986-1990年では、1.27(95%信頼区間0.92-1.73)であり、1991-1998年では1.45 (95% CI = 1.20, 1.73)でした。
女性では、1986-1990年では1.94 (95% CI = 1.70, 2.20) 、1991-1998 年では1.96 (95%信頼区間1.82-2.1) でした。
1Gy当たり増加する相対リスクは、外部地域の人を対照に比較して算出すると、女性では、-1.3(95%信頼区間-2.8-0.1)、一方、男性では-0.4(95%信頼区間-3.5-2.7)でした。地域外の人を対照として比較すると、この地域の居住する人は、がんの発症はむしろ減少しました。
内部地域の人を対照に比較した場合には、1Gyあたりに増加する相対リスクは、男性では0.7(95%信頼区間-2.3-5.2)、一方、女性では、-0.9(95%信頼区間0.8--2.4) の数値でした。PMID: 12498517 Health Phys. 2003 Jan;84(1):46-60.