今は、がん細胞の遺伝子検査を行い、治療の選択や予後の判定に用いたりすることが、盛んに行われるようになりました。染色体の不安定性などの程度を評価し、悪性度や患者の予後との関係などが調べられています。遺伝子検査から予後の予測をする際、がん細胞の遺伝子検索が発展途上である現段階では、判定に用いるマーカーの選択には慎重であるべきと言われています。PubMed 21270189
エストロゲン受容体ER陽性と、陰性の乳がんでは、乳がん細胞の染色体の不安定と予後との関係は異なるとの論文がありました。ER陽性の場合は、染色体の不安定性が高い乳がんを持つ患者では、予後が悪く、一方、ER陰性乳がんでは、不安定性が高いと予後は良いとの結果でした。がん細胞の生存に、ERの影響が強く働いていると考えて良いのかもしれません。
別の論文です。染色体の不安定性を評価するCIN70という数値があります。この数値を用いて、2125の乳がん細胞において、不安定染色体をチェックした成績です。
ER陰性、基底細胞フェノタイプの乳がんにおいて、染色体不安定性の強い乳がん細胞の方が、中等度の不安定をもつ乳がん細胞より、患者の予後が良いという結果が得られました。PMID: 21270108 Cancer Res. 2011 Jan 26
別の論文です、313のリンパ節転移のない乳がんの遺伝子を調べたところ、ER(エストロゲン受容体)陽性の乳がんでは、染色体不安定の高い乳がんの患者で予後が悪く、それ以外の乳がんでは、結果はまちまちでした。ER陰性の乳がん細胞では、ER以外の要因からの影響が強いようでした。