このブログでは、体の中でがんの発生を防ぐ働きがあることを話してきました。

p53は、遺伝子の守護神といわれ、染色体の安定性を保つ役割があります。異常な遺伝子を持つがん細胞が増えないよう、遺伝子コピーのミスをチェックしています。こうした期待を裏切って、不死の能力を獲得していくのが、がん細胞でしたね。誰でも、がんになるかもしれないのですが、がんになったら、運命論的な心境となり、“治療に失敗された!“などと考えないようにしたいです。落ち込みから早く抜け出し、ゆったりとした境地で、免疫力を高めるためにも、がんとは何かを、普段から考えて行きたいです。
 
元々、がん細胞では、染色体の不安定性がましています。がん細胞自身の遺伝子は、正常細胞と比べると、染色体構造が崩れていて、次の細胞にDNAのコピーを正確に伝えることができにくくなっています。がん細胞に、さらなる遺伝子異常が積み重なることがあります。このように染色体が不安定であることは、がん細胞に見られる特徴です。一般的に、染色体が不安定であるほど、悪性度が高いと考えられてきました。しかし、一方で、遺伝子がかなり狂ってしまうと、細胞として働きにくくなることがあり、がん細胞が環境に適応できなくなり、生命力が低下します。がん細胞が次世代細胞に命をつなぐには不利になるのです。顔付きを変えたがん細胞は、正常細胞を押しのけて増え始めたとしても、さらなる生き残る生命力がないと、免疫力や抗がん薬によって、がん細胞はつぶされてしまいます。つまり、がんの増殖がとまれば、患者にとっては、悪性度が低いがんということになります。
 
実際に、動物モデルにがん細胞を作る研究において、腫瘍の染色体の不安定性を増してあげると、がん細胞の生存が低下することがわかっています。
 
がん細胞が生存に適さない顔つきになっていく時、そのがん細胞の持ち主、つまり患者ですが、病気の経過や予後が良くなるわけですが、こうした事実から、どのようなことを考えますか? がん細胞の遺伝子を操作して、生命力を低下させ、治療につなげるなどのアイデアが浮かぶかもしれません。
しかし、多くの方は、治療の成果は難しいものだという感想であると思います。

がん細胞の生命力は動いていきます。動いている鳥を撃ち落とせないからと、嘆いてもしかたないわけです。
がん細胞が、治療にどのように反撃するのか、薬はどれがよいか、人の免疫力は高いのか?など、不確実な要素がたくさんです。元々、人の反応の多様性を考えれば、治療の成果を予想するのは、至難な技でしょう。
個々の人で異なる治療成果、人間の知恵である医学の限界を思えば、運命論的な心境にならざるをえません。がんと言われたショックから少し落ち着いてくれば、がんとは何者なのかを知れば知るほど、運命論をうけいれられるのだと思います。
 
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