学とみ子は、以前にネーチャーの論文を紹介しました。今回は、論文ではなく、論文紹介のための記事を紹介します。この記事は無料で配信されており、誰でも読むことができます。但し、記者が論文の紹介として書いているので、その記者の見解が入ります。さらにそれを日本語に訳した記事が、各新聞社から紹介されますが、そこにも書いた記者の見解がはいります。それぞれの新聞社は、元の論文にアクセスして、内容のエッセンスを紹介しているのですが、新聞社ごとに違いが出てきます。
 
学とみ子が入手可能な手元のニュースソースには、各新聞社の紹介記事が載っていましたので、それを下記に書きます。
 
毎日新聞は、日本の学者のコメントをのせていて、論文内容がわかりやすく書いてありました。各新聞社ごと、比較するのも興味深いかもしれません。
 
 
日本の各新聞社の記事です。
 ・毎日新聞  http://forcast.emailalert.jp/c/aemwanft3Ex46Caf
 ・読売新聞  http://forcast.emailalert.jp/c/aemwanft3Ex46Cag
 ・産経ニュース http://forcast.emailalert.jp/c/aemwanft3Ex46Cah
 
私は、ネーチャーの記事を少し、紹介します。このオリジナル論文の著者は、Joseph Eckerらで 所属はthe Salk Institute in La Jolla, Californiaです。記事では、論文の著者Eckerらのコメントも載せています。それ以外に他の研究所の生物学者の見解なども載せています。
 
論文で、Eckerらは、iPS細胞,ES細胞では、DNA塩基の配列は一致していても、遺伝子発現に影響を与えるDNA構造が一部で異なっていることを報告しました。この構造の違いは、エピネテティクス と呼ばれる領域のことです。エピネテティクスとは、塩基配列以外の遺伝子の構造変化のことで、例えば、DNA塩基に結合する物質の状況が異なることを指します。代表的なものは、メチル基の結合で、これにより、遺伝子の転写が進まなくなります。それで、この部分の塩基にメチル基がつくと、遺伝子の働きに大きな変化が及びます。
 
Eckerらは、4個のES細胞、5個のiPS細胞、iPS細胞が由来する元の大人の細胞、及び幹細胞から分化した細胞のそれぞれについて、このエピネテティクスの構造の違いを調べました。そして、iPS細胞において遺伝子の端と中央部分で、遺伝子構造物に結合したメチル基の違いを指摘しました。Eckerは、「ちょっと見では、同じ様だが、サインが違っている」と言いました。
 
Chad Cowan氏 (ボストン マサチューセッツ ジェネラル病院の研究者)は、この研究の共同研究者ではないが、現時点でのiPS細胞では、幹細胞として使用するのはむずかしいだろうと述べました。
 
Richard Young氏 (マサチューセッツ ホワイトヘッド研究所の研究者)は、一度、生命体から離して培養した細胞は、再度生命体にもどしてもうまく機能しないようだと述べました。
 
補遺
エピジェネティクスの最も代表的なものはDNAのメチル化です。遺伝子のプロモーター領域に多く見られるCpGアイランドと呼ばれる部分に存在する塩基シトシンの5’の位置にメチル基が付加されると、プロモーターは不活性となり転写は抑制されます。メチル基があるかないかにより、遺伝子の発現とその抑制が可能になります。 その他のエピジェネティックな現象には、ヒストン蛋白のメチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化などがあります。