環境調整の一貫として、ペットの飼育禁止もひろく勧められた。その結果、わかってきたことは、人の免疫反応の多様性であり、ペット飼育がアレルギー増悪に働く人もいれば、そうではなく、発症が予防できる人もいたことだった。もう、10年以上前の話しになってしまったが、アメリカの学会において、著名な小児疫学者であるマルチネツが“アレルギー専門医がアレルギー予防のためペット飼育の禁止をすることは問題である”という講演をし、その過激な内容に会場がざわめいた。その後、ペット飼育とアレルギー疾患との関連には、遺伝子との関連が指摘されたが、万人に共通する予防策はみつかっていない。
アレルギーの原因となるアレルゲンは、国ごとに種類が異なる。ある国にたくさん存在しても、その国の人には、アレルゲンとはならなかったりする。但し、だんだん生活が豊かになり、国ごとに格差のあった生活レベルが改善されてくると、住む人の健康状態や病気は、世界中で似てくる傾向にはある。つまり、感染症が減り、アレルギーやメンタル病が増えると言う傾向だ。
 
現在、多くの日本の医師は、あえてアレルギー予防にペットの飼育は勧めない。日本における住宅環境は外国とかなり異なるため、ペット飼育がアレルギー予防効果に続がるとした外国成績の解釈は慎重でなければならない。しかし、トピックス的に、ペットはアレルギーを防ぐなどと説く専門家もいるかもしれない、
ペットを飼うのがどうなのかについては、その飼い方について、外国との違いに注目してほしい。広い乾燥した室内、広い敷地など、生活環境が違えば、アレルゲンが人の体に及ぼす影響は変わってしまう。しかし、飼育を止めても私たちの服にはペットアレルゲンが着いて、その量は感作させるには十分の量である。アレルゲンを吸入すると、それが消化管に到達して、実質的な経口減感作になっている可能性の指摘もある。消化管を通過して多量に進入する抗原に対しては、アレルギーの免疫系はおきにくいとも言われている。しかし、ここにも個人差はある。
アレルギー増加の原因は単一的なものでなく、アフリカの都会に住む貧しい子供たちの間では、まだ感染症が多いにもかかわらず喘息は増えている。一方、アフリカの村に住む最も貧しい層の子供ではまだアレルギーは増えていない。医療事情が日本とは異なる米国では、貧しい層の子供たちの重症の喘息発作の入院が増え、こうした子供たちはかなり肥満しているとのことである。
 
専門家が口をそろえて言うことには、誰でも安心して、メリハリのある幸せな暮らしをすることが、アレルギー予防に近づく。子どもは、希望に満ちて、のびのび育つことであるようだ。その結果、免疫細胞が、適度に刺激され、適度に抑制してくれるのであろう。アレルギーは未知の分野が多く、理論で予想したことと、現実が異なる結果となる経験をくりかえしてきた。考え方をダイナミックにして、根拠のないこと(エビデンスに基づかない)を、見抜くことが大事であろう。