アレルギー性疾患が世界的規模で増加傾向にあると指摘されてからすでに久しい。アレルギー疾患は、IgEと呼ばれる免疫グロブリンが増加しやすい人におき、増加したIgEはマストセルと呼ばれる白血球の仲間からいろいろな物質を放出させる。 と、つい最近まで、こんな説明がなされてきた。もちろん、この説明は間違いではないのだが、世界中で、ダニ除去、卵、牛乳除去などのアレルギーの治療が、思うほどの効果をあげなかった。さらに、乳児では、初めて食べるものを、離乳食から遅らせてしまうと、むしろ反応しやすくなる可能性も指摘されるようになった。また、異種の蛋白をあまりに早期(生後4カ月未満)に与えてしまうと、それも腸管の負担になってしまうこともわかってきた。
 
IgEの役割を含め、こうした考え方は、どんどん変化している。代表的なアレルギー型の喘息は、アレルギーに加え、気管支が縮み易い人に、病気が起きてくる。喘息も世界規模で増加している。喘息発作は、呼吸が苦しくなる病気であるが、以前は、気管支にとりまく筋肉(気管支平滑筋と呼ばれる筋肉)の病気と考えられていた、それが、医学の進歩と共に、気道の炎症という考え方に変わり、そして、昨今、又、気管支の筋肉に病気の元を求めようとする傾向にある。元々、喘息の素質のある人では、気管支に存在する細胞が筋肉に変化しやすい生まれつきの性質を持っているらしい。
 
同様に、アトピー性皮膚炎は、皮膚の保湿成分の遺伝子異常の影響が指摘されていて、保湿できない皮膚が体を包む役割を破綻させてしまうのが、病気の本態と考えられている。以前、あれだけ話題になったダニアレルギーも、それが原因というより、ダニのような外からの有害物質を排除する体の働きがうまくいかないために、ダニやアレルゲンが体内に侵入しやすくなってしまうとの考えが導入されてきた(今後も、常識が変わっていく・・・)。しかし、動物には、自らの体内に助っ人機能も備わっているので、困った性質を生まれつきに持ち合わせてしまっても、体の反応が修正され、病気を防いでいくこともできる。だから、病気が悪化した時は、落ち着いた行動が必要になる。医学理論から離れた、棚ボタのような偶然的な治療効果を期待しても、無駄な努力となってしまう。毒を消すとかの考え方も、アレルギーにはなじまない。人は、有害と判断したものを排除する働きがあり、これが免疫のしくみであるが、見逃すことも含め、誰でも落ち着いて取り組んでいけば、自らの免疫の働きが自信をとりもどし、なんとか調節してくれることになる。
 
アレルギー疾患の増加の原因としてハイジーンヒポテーシス(衛生仮説)とよばれる理論がある。現在のアレルギー性疾患の増加は、生活環境の改善により(感染症の減少など)により、免疫系がうまく働かなくなったためではないかとする仮説である。アフリカの農村で自宅において豚飼育のある家の児では、アレルギー性疾患の発症が少ないことが指摘されてから、世界中で検討されるようになった。家畜の排泄物(便、尿など)中に大量に含まれる物質(エンドトキシンなど)が、ヒトの免疫系を活性化させ、アレルギー反応を避ける可能性が指摘されている。この説は、世界中で追試されたが、今のところ、この説を否定する事実はみあたらない。しかし、今後も、知識は集積され、変化していくであろう。
 
アレルギー性疾患の治療には薬物療法に限らずのみでなく、環境調整、食事療法などいろいろな試みがなされてきたが、その効果はかならずしも満足のいくものではなかった。つまり、室内を清潔にダニ除去をしても、期待できるほどの効果がでなかったのである。続く・・・