金沢出身で台湾南部の水利事業に尽力した八田與一(はったよいち)技師を描いたアニメ映画「パッテンライ!!八田與一-嘉(か)南(なん)大シュウ(たいしゅう)の父」(同製作委員会、北國新聞社、虫プロダクション製作)の試写会は9日夜、台北市の映画館で開かれ、約250人が訪れた会場には、台湾を愛した日本人の偉業に感動の輪が広がった。


13日から台湾全土の10館で公開される。


 上映前にあいさつに立った元行政院長(首相)の謝長廷氏、嘉南農田水利会の徐金錫会長らがダムと水路を建設した八田技師の努力と功績をたたえながら映画の上映を喜んだ。台南出身の歌手、ジュディ・オングさんは「こんなにも台湾を愛した日本人がいたということを作品で知り、感動した」と述べた。


 李登輝元総統も訪れ、鑑賞後に「若者のためになる映画だ、多くの人に見てほしい」と感想を語った。


 映画はせりふが台湾語や北京語に吹き替えられ、八田技師が戦前の台湾南部で現地の人々と協力しながら烏(う)山(さん)頭(とう)ダムと水路を建設し、不毛の土地を耕作地帯に変えた生き様や日台の子供たちの友情を描いている。


 4日夜に台南県で開かれた試写会では烏山頭ダムを日台関係の「象徴」と位置付ける馬英九総統も鑑賞した。


 台湾行政院新聞局(台湾の内閣広報機関)は9日、台湾で八田與一技師の映画が公開されるのを前に、技師の功績をたたえ、上映が友好促進につながることを期待するコメントを北國新聞社に寄せた。


 八田技師は1920年ごろから10年の歳月をかけて当時アジアで最大規模の烏山頭ダムを完成させ、嘉南平原の稲作収穫量を飛躍的に増加させました。

台湾の農民はその功績を今でも感謝しています。


 台湾政府は民間と協力して烏山頭ダム風景区に「八田與一記念室」を開設し、八田技師がダム建設を指揮している写真や生前の事績などの貴重な史料を展示しているほか、毎年5月8日の八田技師の命日には嘉南農田水利会の主催で慰霊祭が行われ、今年は馬英九総統も出席して、その功績を偲(しの)んでいます。


 八田技師が今でも台湾の人々から敬愛されているのは、偉大なダムを残したというだけではありません。


八田技師が台湾人と日本人を一視同仁とした台日友好の精神を貫いたことも、台湾の人々は忘れていません。


 映画は11月より台湾各地で公開上映されます。


1人でも多くの台湾の若者が映画を通して、八田技師が果たした貢献を理解し、八田技師のように全力で物事に取り組み、数々の困難を乗り越えて目標を達成する精神を学び、そして台日友好が一層強化されるよう願っています。




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