本質を突き詰め、革新を繰り返す・・・2
そして続く・・・
「実はソースはフランス料理の1つの要素にすぎません。また僕たち日本人が、学んだ「フランス料理」は先輩シェフたちがフランスで学び、日本に持ち帰ったものが多かった。でも料理は時とともに本国でどんどん進化していたのです。特に他国との地続きのフランスは他から影響を受けやすく、変化にも柔軟だと思います。僕がフランスで勤めていた三つ星レストラン「アストランス」のシェフ、パスカルはこう言いました。「フランス料理はソースと君は言うが、スープにはソースがかかっていない。デザートにもそうだ。じゃあ、スープもデザートはフランス料理じゃないのかい?」僕は面食らいました。
それから僕は、フランス料理の基礎を見つめ直しました。当時パスカルから教わった「基礎」とは、「素材」、「火の入れ方」、「味付け」の三つ。フランス料理というより、料理そのものの3原則ともいえます。
当然料理人ですから、これをおろそかにしていたわけではありません。でも、パスカルの徹底度合いは違いました。
例えば素材。素材の鮮度にこだわるというのは、料理の基礎で料理人であればこれを否定する人はいないでしょう。どこまでこだわり、徹底するかで結果は異なるのです。料理店は通常市場を通じて魚を仕入れます。これは「常識」ですが、市場を通せば鮮度が落ちる。つまり「素材」にこだわりぬいたとはいえない。「食材は市場から仕入れる」という常識の中にいると生まれない発想です。「素材にこだわる」という基礎を徹底した結果、常識から逸脱する事になったのです。」
~本質を突き詰め、常識を疑えば、革新が生まれる~
「こういった経験を経てから、僕は本質や基本を突き詰めると同時に、常識を疑ってかかる事にしました。
もちろん料理界のセオリーには先人たちが培ってきたノウハウが詰め込まれています。でも別のアプローチでそれ以上の結果を出すことが出来ないかと考え試してみることが大切です。」
伝統と革新この境界線は世代にギャップが生まれる・・・・・。
~常識から外れることの対応策まで用意する~
「常識という手かせ、足かせを取り払ったところに革新がある。」
それは彼の料理哲学にも脈々と受け継がれているいるようだ。「カンテサンス」にはメニューがない!メニューは白紙だと言う。つまり、全てお任せというわけだ。
「アラカルトメニューのあるお店では、お客様に自分で料理をえらぶ自由があります。しかし、メニューの選択肢が多ければ多いほど多くの食材を仕入れる必要があり、そのコストが消費されなければ、次の日に鮮度が下がった状態で提供しなければなりません。」
そう!!それでは、素材にこだわるとは言えないと。
「だから自分に問いかけました。「本当にメニューが必要なのか?」その結果飲食業界の絶対常識の「メニュー」をなくすことで、美味しい料理を出すという基本にこだわる事ができたのです。常識から外れると、そのままでは混乱や不便を招くこともあります。メニューがないのでお客様は料理を選べません。苦手なものをいくら最高の料理として出しても満足には繋がらない。」
カンテサンスは予約は全て電話予約のみ。お客様にヒヤリングして苦手なものなどもきちんと把握する。その会話から既におもてなしは始まっているのだ。また、再来店の時に前回と同じ料理を出すことがないよう細かくカルテに記録までするという、徹底ぶりだ。
最後に、彼が目指すのは・・・。
~日本発のフランス料理とは~
「フランスの食材を使ったフランス料理を東京で作っても鮮度面で本国に勝てるわけがない。ならば、東京にいる
僕にしか作れないフランス料理とは何なのか。でも、味噌や醤油などの日本独特の調味料を使えば日本発のフランス料理になるとは考えていません。日本人のメンタリティーが表現されたフランス料理を作りたいと考えています。日本独特の美意識や哲学をフランス料理の世界で表現出来るのか。これを僕のカラーと考え、料理の本質や基礎を突き詰めながら、美味しい料理を作り続けるチャレンジをしていきたい」
そう締めくくった・・・・。
きっと彼にも「満足」という言葉はあてはまらない。お客様が喜んで笑顔で帰って頂くときにあるのは、充実感なのだ。
全ては自分次第。自分のイメージが形になった瞬間には既につぎのイメージが湧いてくる。
終わりのない世界。
なぜなら・・・・・。
満足した時点で俺たちの挑戦は終わるのだから・・・・・。
「カンテサンス」