やっとこさしばらく前に買ってた「冷たい校舎の時は止まる」を読みました。


実は買ってすぐ試験対策のために時間を割かれて…放置状態だったので今頃。


感想だけ書いておきます。

(お手数ですがあらすじはネットでお調べください。)


「冷たい校舎の時は止まる(上)(下)」:文庫本


怖い。重い。滅入る。やっぱりやられた。深い。考えさせられる。


これが概ねの感想です。

別に自分が怖がりのつもりはないですし、お化け屋敷なんかでもどこかしらけてしまっている自分もいるぐらいなんですが、なんというか、怖かった。


雪の降ってる日の、特定の人間以外誰もいない校舎。

その場面設定と描写が秀逸。

悪寒にも似た嫌悪感が読んでてあります。

それは雰囲気にせよキャラクタの心理描写にせよ。

夜に一人で読んでた時は嫌だなあと素直に思いました。

かといって、読む手を止めるでもありませんでしたけど。

物語の設定自体が、はじめはあらすじからもいまいち読み取れず、途中まで随分先の見えない淀んだ気分で読んでました。

単純にページ数も多いですし。


途中からはやや物語にも慣れ、何となく方向性も見えてきます。

これまで作者の他の作品数作を読んできてるせいもあり、ただで終わるはずはないと猜疑心MAXで読んでるのに、いつのまにか右に左に振られる話に意識を取られて、まんまとやられたとなるオチは手法であり、そして僕の単純さでもあります。

学習能力が無いのか、俺には。


話を元に戻しますが、相変わらずキャラクタの設定が細かいです。

それゆえに捨て駒もいるはずがなく、読んでいる間はなかなか「who」という答えは見つけられないでしょう。

これを是ととる人もいれば非ととる人もいるでしょうが、この作品はそれ全体が伏線なんだなと思います。

それぞれのキャラクタに背景がきちんとあるから、物語として成立してるし、別の側面として、それらを追いかけて突き詰めていけば、もしかしたらおのずとある程度までの仮説は立てられるのかもしれませんね。

あくまで読後の結果論ですけど。


あまり最近の作品に比べて、キャラクタへの感情移入とか、同情はあったようには思いません。

黙々と先を知りたい一心で読みながらも、淡々と読み進めていった感じです。

テーマとしては「いじめ」とか、「罪悪感」とか、「思春期の自意識」とか、「コンプレックス」とかあたりに繋がるんでしょうけど、メッセージ性よりは娯楽・ミステリとしての一面が色濃いかなと感じました。


はっきり言うと、読むのが大変疲れます。

読む方を疲れさせる文章でブログを書いてる僕が言うのもなんですが、実際重いです。

雰囲気とか物語の地盤に流れる観念というものが。

エンターテインメントだとはいえ。


なので、時間と体力とポジティブさがある時に読んでください。


3日間で読みました。