ずっと前から気にはなっていたのだけれど近くの図書館に翻訳がなかったりするのでなかなか読めずにいたこれ、学校で借りてやっと読み終わりました。いや、本当は院生だったら、原語で読めって話なのは分かってるんですけど……いやー……別の作家のやつ原語でちょっとずつ読んでるけども、一日三ページしか読めない体たらくなんだもんっ!(かわいくねーよ) あ、一応他の勉強も色々やってるからですよ?それしかやってないのに三ページとかじゃないですよ?まさかそんな……あ、それはともかく。


 霧深いペテルブルクで、自分が迷い込んでしまってものごとの判別がつけられなくなって、宇宙は地球の外にあり地球はロシアやその他の国より大きくペテルブルクはその他の都市同様ロシアより小さく、家は都市より小さく、人は家より小さい……という当たり前の感覚が混然としてきて、微細な点が膨張して巨大なものが容積を失っていく……そんな感覚です。最後はなんだか無性に寂しく、ちゃんと予想を差し挟ませない見事なストーリー立てがあるので筋を追っていれば楽しめるのだけど出てくる言葉が眩惑的にちらついて、私みたいな単純な脳みその人だと誇張された細部の幻想にのめりこんでしまって論理的な目で色々追う余裕はなくなってしまいます。いや、そんな必要はないのか……。


 本当は原文ではちゃんとロシア詩の韻律を保った音楽的な作品であるということなので、そちらごと楽しめたらいいのですが、もうちょっと語学の勉強が熟達したらそっちは楽しもうと思います。