​ここから、胎児の病気と人工妊娠中絶に関する内容がしばらく続きます。読みたくない方は閉じていただきますようお願いします。


ついにこの前置きをした上で書き進める内容のところまできました。不妊治療時代も自分としてはかなりしんどかったのですが、やはりこの頃のことを思い出す方が断然辛いです。


当時同じ思いをされた方のブログにはかなり助けられました。そしてここからが、このブログでいちばん書いて残したかった内容です。




相当気をもんだNIPTが陰性となり、次の検診は妊娠5か月になる最初の日でした。

この妊娠については、前回の稽留流産を踏まえてまだごく一部にしか知らせていませんでした。

夫の母、私の両親(ただしわたしの母についてはこの頃すでにかなり認知症が進んでいたのでどこまで把握しているかは分からないですが)、そしてNIPTについて相談した同じく第二子妊娠中の友人、そして学生の頃から仲良くしている友人2名 これだけだったと思います。お互いの職場や上の子関係にもまだ一切話していませんでした。

なので、NIPTの結果と安定期に入ってからの検診で問題がなければ、必要な範囲で知らせようと考えていたところでした。

いや、本当はNIPT陰性の時点でもう言ってもいいかなと思いましたが、なんとなく産院の定期検診を待とうと思ったのです。

結果、いろんな人に知らせる前に異常が分かったので、この判断は奇しくも英断になりました。

定期検診の日、土曜日お決まりの大混雑で長い待ち時間が発生していましたが、つわりもかなり治ってきていたこともあり、本を読んで待っていたら苦ではありません。しかし1か月ぶりの検診、胎動もまだ分からず、やっぱりソワソワします。
でもこの日はただのソワソワではなく、それに加えて不穏な気配を感じていました。母の第六感はあるんだと思います。

やっと診察に呼ばれ、先生も「かなりお待たせしちゃってごめんなさいね」と、途切れない診察で疲れつつも気を遣ってくれました。
待つのは何ともなかったですが、ソワソワザワザワは最高潮です。

まずは心音計。久しぶりのシュワンシュワン音が聞こえ、生きてた!と安心しました。
続いてエコー。もう週数的に経腹エコーです。
手足の長さ、指の本数、胴の長さ、など、次々に測っていましたが、あるところで何度もエコーの機械を動かし、グイッと押したり、マウスをカチカチやったり、明らかに先生に焦りが見えます。

「あれ…?ちょっと隣の内診台に行ってもらえる?経膣エコーします。」

え、経膣エコー?この週数で?
なんでだろう。もう嫌な予感しかしません。
内診台に座って、台が上昇しきらないうちに経膣エコーの機械が入りました。

先生めっちゃ焦ってる。
何⁈何が起きてるの…⁇  カーテンの向こうで他の先生を呼ぶ声がして、どうやら2人の医師が見て話しています。

「BPDが測れないんだよね…」
「…うん、見えないね」

内診台から降りて、診察室に戻ります。

まだ焦りの消えない先生から、説明がありました。

「検診で、頭の大きさを測らないといけないんだけど、それをBPDていうんだけど、後頭部が見えないんです。普通頭蓋骨がこう見えて、ここの大きさを測るんだけど、見えないから測れない。
もちろん今の時点で断言はできないけれど、無頭蓋症、無脳症の可能性が考えられます。
他の医師も呼んで複数の目で見てみたけど、同じ見立てです。」

先生の説明を聞いたとき、すぐにコウノドリの無脳症の回を思い出しました。

お腹の中では無菌状態だから生きられるけれど、頭蓋骨が形成されないから脳が守られず、呼吸等を司ることができないから外の世界では100%生きて行けない。あのドラマの中で、お母さんは泣く泣く中絶していました。わたしも見ながらオイオイもらい泣きしていました。

…まさかそれなの!?
今度、あのお母さんの立場にわたしがなるの!?
これって、今って現実…?

今日、診察を待っていた時間に感じた不穏が一気にドス黒く重い空気となってわたしの体にのしかかりました。今日の不穏はこれのことだったのかと。。

先生は続けます。
「角度の問題もあるし、今日のエコーだけでは断定できない。少し日を空けて再度確かめましょう。3日後、もう一度来てもらえる?
ただ…やはり無頭蓋症となった場合、赤ちゃんは諦めてもらわないといけないかもしれません。」

それから先のことはあまり覚えていません。
とりあえず会計を終わらせ、上の子と遊びに行っている夫に電話しました。

「赤ちゃん、頭蓋骨が形成されてないらしくて…外では生きられないって。」

電話の向こうで夫の声が沈みます。
今(わたしが)大丈夫か?と聞かれ、とりあえず歩いてる。帰る。と答えました。

おれは大丈夫じゃない…という声が聞こえます。
わたしもだ!!でも今どうしようもない。
夫は上の子を連れているので、どん底の中子どもの面倒を見ながら帰ることになるので、まずは気を落ちつけて、とにかく家で待ってると伝えました。

この日の検診後、夫の母とランチの予定をしていましたが、とてもそんな気になれず、今日は体調が悪いのでキャンセルさせてほしいとだけ連絡を入れて帰路に着きました。
本当のことはとてもまだ言えない。

なんでうちなんだろう。
お腹をさすりながら、どうか誤診であってほしいと、低い可能性を模索していました。