キリンホールディングスのフロンティア技術研究所は、東京大学農学生命科学研究課付属牧場との
共同研究で、発泡酒等の製造過程で発生する大麦搗精粕(おおむぎとうせいかす)の配合飼料を
乳牛に食べさせることで、その免疫効果を高められることを確認した。
今後、畜産業界における抗生物質に替わる感染予防素材として、実用化に向けた商品開発が
期待される。
今回の試験では、泌乳中のウシに大麦搗精粕の配合飼料を28日間食べさせ、抗体の一種の他、
免疫が活性化すると分泌されるサイトカインというタンパク質の増加を確認。
また、乳汁の成分分析では、細菌感染の指標となる体細胞数を減少させていることが分かった。
同社は昨年、大麦搗精粕をセルラーゼ処理して抽出したリグニン配糖体が、マウスやウシの免疫力を
向上させることを発見している。
今回はセルラーゼ処理していない大麦搗精粕で試験を行い、効果が出たことから、ウシの胃に内在する
セルラーゼの働きでリグニン配糖体が発生したと推定できる。
畜産業界では、乳質に悪影響のある乳房炎といった細菌感染症を治療・予防するため、抗生物質の
投与が行われることが多い。しかし、薬剤耐性菌の出現や、家畜の健全な育成の面での懸念もあり、
新たな感染予防素材に対するニーズが高まっている。
(記事参考:循環経済新聞 12/3)