使用済みペットボトルの海外への流出が加速しています。

特に中国の合成繊維メーカーが、きちんと分別した日本回収品に目を付け、

国内向けの2~3倍の高値で購入。中国向け輸出は4年前の約5倍の勢いです。

財政難に苦しむ自治体側も輸出姿勢を強めています。

国内の再生設備の稼働率低下につながり、リサイクルシステムの維持が難しくなる

可能性が出てきました。


廃ペットボトルの中国向け輸出価格は、キャップやラベルなどの分別を徹底した場合で

1トン5万5000円(中心値)。

法律に基づきリサイクルを受託する日本容器包装リサイクル協会(東京・港)の今年度購入価格

(平均約2万2000円)の2.5倍に達しています。


財務省の貿易統計によると、1~9月の廃ペットボトルの中国向け輸出は、

自動販売機に併設したごみ箱などからの回収分も含めて21万8550トン。

円高にもかかわらず、前年同期より2%増え、輸出統計を取り始めた2006年同期と比べると

4.8倍に膨らみました。


岡山市の売却価格は今年上期が1トン6万円、下期が同5万5000円。

鳥取市などは「財政難の中、高値で買ってくれる輸出業者に回さざるを得ない」と話しています。

中国の合織メーカーなどは主に衣料品や日用品に再生しています。


飲料・容器メーカーの団体でつくるPETボトルリサイクル推進協議会(東京・中央)は

「原料の廃ペットボトルを十分調達できず、再生設備の稼働率は5割程度」と明かしています。

再生業者40社で組織する廃PETボトル再商品化協議会の鹿子木会長も

「ペットボトル不足で追い詰められ、撤退せざるを得ない企業が出る」と訴えています。


環境省は自治体に対し「輸出が急に減った場合、国内で処理しきれなくなる恐れがある」と

警告しています。


(記事参考:日本経済新聞 10/30)