今月のお題は『小さい頃の夢』です。

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保育園の卒園集には「かんばんやさん」(父親が看板屋だから)と描いてある。他の友達はお花屋さんとかケーキ屋さん、なんてかわいらしい絵が描かれてあって、幼心にも「けっ。ぶりっこしやがって」と感じたのを覚えている。思えばその頃からすでにステレオタイプに拒否反応していたのだなー。可愛げのない子どもだ。

クリスマス会では「かさじぞう」のお芝居をしたのだが、女の子達はみんなこぞって「雪の精」になりたがり、私は誰もやりたがらない「おばあさん」をやったのだ。
実は「おばあさん」は、ずっと出ずっぱりの主役ものだったのだが、子どもの選ぶ基準はそんなところではない。
かわいいか、かわいくないか。
そして私はかわいくない方を自ら選んだ。
その根底に、「どーせ私なんか」というひがみがあったに違いない。

3人姉妹の真ん中。両親は働いていて、だれも注意を払ってくれない寂しさが常にあった。
そんな家が嫌になり、真っ暗に日が暮れたある夜、家出した事がある。
でも、秋口の風が冷たくて、誰も歩いていない町内をとぼとぼ一周して、他に行くところもないので家に戻った。
少しは心配してるかな~と期待して家に入ると、母親はまだ長電話の真っ最中で、私が居なかった事すら気づいていなかった。
注意をむけようと、好きでもない事をやっても自分が馬鹿をみるだけだと悟った小学3年生だった。

親がどう思うかよりも、自分がやりたい事を追求してきたのだが、まわり回って現在は父の「かんばんやさん」で働いている自分がいる。これが最終形ではないけれども、莫大な留学費用の恩は返さないとね。
と言いつつ、恩恵を受けているのは誰より私自身だったりもする。

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◆ゲストライター:きみえ

LA、NY、東京と渡り歩き、結局生まれ育った札幌に産卵のため帰巣。NYで勉強したウィンドーディスプレイはもとより、旅行、映画、イベントなど「異空間」に身を置く事がなにより大好き。
育児休業を経て看板屋にてフルタイムで働くも「異空間好き」は治まらず『わくわく環境企画』なる名前で、子連れクラブイベント『SAPPORO BABY DISCO』決行!予想を上回る反響に嬉しい悲鳴。
家では2歳児の息子と大阪人の夫に引っ張りだこの日々。