秘書とお出迎え
わたしが担当させていただいたダンディCEOは、朝はお一人で、フロアにあがってきておりましたが、
別の役員を担当されていた秘書さんには、「お出迎え業務」がありました。
役員の方がお車でビルの入り口近くにいらっしゃると、
必ず、その秘書さんの携帯がなっておりました。
「到着したよ」というお知らせ連絡だったのです。
「ただいま、お迎えにうかがいます。」とその秘書さんは答えて、
いつもビルの入り口まで出迎えにゆき、そして、一緒にエレベーターでフロアまであがってくるわけです。
帰りの場合も、同じです。
一緒にエレベーターで1Fまでおりて、車寄せまでお見送り。
この、お出迎え、お見送りの時間は、
書類片手に、簡単にスケジュール変更のことをお伝えしたり、至急の案件のことを相談させていただいたり、という貴重なお時間だったりしたようです。
ばたばたと役員についてゆく秘書さんを見ると、
これも、まわりからどのように見えるのかを計算している、ベンチャー企業の演出方法なのかなぁ。
と。
そんなことを、思ったりしました。
ベンチャー企業だけではなく、
まわりに、「俺はエライ地位についている人間なんだよ。」というアピール方法のひとつなのかな、
なんて考えてしまったり。
普通の企業の役員様も、同じような感じなのでしょうか。
あいにくと、わたしは、秘書としてこちら一社しか拝見しておりませんので、
これが普通なのか、そうでないのか、よくはわからなかったりしております。
秘書と郵便物
秘書の基本業務のひとつとして、郵便物の管理、がありました。
日々、CEOに届く郵便物を、まずは全て、開封、目をとおします。
明らかにDMと思われる類のものや、仕事に関係ないと思われるものをよりわけ、誰からどのような内容の郵便物が届いたのか、全て把握するのが第一歩です。
ド新人の、へっぽこ秘書もどきなわたしがこの業務を行いましたので、
すべて筆頭秘書・和歌子(仮名)にまずは口頭にて報告をし、
最終的には、和歌子(仮名)の判断で、直接CEOに見ていただくのかどうかが決定しておりました。
わりとこの、筆頭秘書のもとで、握りつぶされてしまうものも、けっこうあったわけです。
日々、担当させていただく役員の方に、お忙しい業務に専念していただく為には、これは非常に重要なようです。
しかし、ここで、 「筆頭秘書」という高いハードルを越えねばならないので、自然、秘書というものは、その地位が平社員にもかかわらず、権力を握ってゆくのかもしれません。
おそらく、普通の企業であれば、「親展」と書かれた封書や、明らかに私信と思われる封書には手をつけないのが一般的だと思われますが、
わたしが出向いていた企業は、違いました。
会社に届くものは、全て業務上のものである。
という考え方のもと、ばりばりと、遠慮なくすべて、開封OKでした。
とある日、ダンディCEOに届いた、明らかにお水の方から、と思われる封書。
「お久しぶりでーす。○○です。
XXちゃんが辞めちゃってから、全然お店に来てくれなくって、寂しいでーす。」
こんな書き出しのものまで、目をとおすコトになるわけですね。(笑)
まぁ、更に懇意であるならば、直接個人携帯あてなどにメールが届いたりしているのでしょうが。
なんだか、バカバカしい気分になってきてしまうのは、こんなときでした。
最近では、メールという便利なツールもありますので、
お礼状という堅苦しいもの以外に、ちょっとした連絡などで、CEOのアカウントから、代筆メールなるものも書かねばならぬ機会もありました。
受け取る相手との関係を正確に把握している場合はいいのですが、
え?この人、だれ?
という相手の場合には、ちょっと、難儀します。
(取引先との力関係)
基本的に、お礼状の代筆などのときも、まず、CEOに届いた郵便物を直接見ていただき、
とある時はおっしゃったことをメモして、そこから文章を組み立てます。
(まあ、これが、長々おっしゃることではなくて、二言三言つぶやいたことから、組み立ててゆくわけです。)
CEOのお名前で出す郵便物の場合は、必ず、仕上がったものをお見せして、文面などをさっとチェックしていただき、最後にサインをいただいて、封をすることになっておりました。
長年同じ方を担当していたり、交友関係をすべて把握している秘書の場合は、楽々やってのけることなのでしょうが、
そこはそれ、即席秘書もどきのわたしですから、
毎日、こんなめんどくさいやりとりが多くあったわけでした。
郵便物ひとつにも、ただ書いて出せばいいというわけではなく。でしたね。
秘書のお洋服
秘書といっても、担当する方の肩書きによって、
雲泥の差が生じてくるのが、この、服装だと思います。
たとえば、グループセクレタリーのような業務で、本部長あたりについている場合、
企業にもよりますが、オフィスカジュアルでも許されてしまったりすることもあるでしょう。
わたしの場合は、某ベンチャー企業のCEO付、ということで、
当初は、オフィスカジュアルよりも、ややビジネス寄りの服装を考えておりました。
ところが。
ところがです。
この企業、社員は全員、必ずジャケット着用、もしくはスーツに準ずる服装のこと、
という社内規定があったのです。
(派遣会社よ、それならそれで、最初から言っとけよ、という感じです。知りませんでしたから。)
街で見かけるOLさんたちの服装、観察してみてください。
わりとカタイ職場だったり、営業のお仕事をしているのでない限り、必ず毎日ジャケットやスーツを着用する人なんて、あんまりいないんじゃないでしょうか。
わたしが某外資に勤務していたときなんて、本部長付の秘書さんでさえ、ジャケットなんて着用していませんでしたよ。(笑)
というわけで。
そのCEO付秘書職になる前は、Gパン出勤OKの某外資に勤務していた位ですから、服装に関しては、けっこう困りまして、あわてて、何着もスーツを購入するという始末。
正社員でもなく、たかが派遣だっていうのに、とんだ大出費でした。(笑)
まわりの秘書さんたちは、みな、ビシッとしたスーツスタイルが基本。
それも、そんなに安っぽい感じじゃありません。
スーツって、仕立てを見ていると、質のよいものなのか、そうでないものなのか、一目瞭然ですよね。
しかも、来客応対がかなり多かったため、
変な服装で相手するわけにもいかず、自然、毎日スーツで出勤と相成りました。
服装で仕事するわけじゃないんですが、
出るべきところに出るときは、それなりのものが必要になるんだなぁ。と。
そんなことを考えたりしました。
役員の専用カップ
お飲み物にまつわる笑い話は、けっこう残っています。
まず、役員のお使いになるカップ。
CEOは、某ブランドのカップと、某有名雑貨店のグラス。
せいぜいが、1個あたり4000円程度。
そんなに高級品じゃなかったのが意外でした。
毎日、洗う際には、いつ割るんじゃないかと、ビクビクしておりましたから。
考えようによっては、ブランドものでよかったです。
というのは、万が一割ってしまっても、まったく同じ物を用意することが可能だからです。(笑)
割ってしまっても、こっそり買って、用意しておけば、本人にばれませんから。
グラスは、バカラとかじゃなくてよかったですよ。ほんとに。
そして、CEO以外に担当させていただいた、もうおひとかたの役員のカップは。
熊ちゃん柄のマグカップ・・・。
いい歳こいた、仕事をばりばりこなすオトコが、熊ちゃん柄、とうのはちょっと、異様でもありました。
ここは、お前の自宅かよ、なノリ。
独断と偏見ですが、本来何を使ってもいいのでしょうが。
ここは職場ですし、本人のイメージやお立場もありますし、
もう少し、普通のカップをお使いいただいているとよいのでは・・・・と、
勝手に、余計なお世話的思考を展開してしまったわたしです。
役員はタクシーがお好き
秘書として勤務しておりますと、
その担当させていただいた方の、経費の精算を当然、担当することになります。
わたしの場合、
まず、一番多く目にしたのが、タクシーの領収書でした。
ベンチャー企業だったせいか、専属ハイヤーも運転手も持ち合わせていないCEOは、
足代わりにタクシーをよく利用なさっておりました。
タクシーといっても、黒タクです。
お帰りの際はほぼ毎日。
自宅からの出勤の際も、ほぼ毎日。
どこかへ少し移動する際も、必ずタクシー。
月末になると、山のようなタクシーの領収書が、袋いっぱい分、わたしの手元に届くのでした。
一体、一日に、何度タクシーに乗るのでしょうか。
それくらい、ほんとに山盛りな、タクシーの領収書、でした。
役員のこだわり 備品編
わたしが担当させていただいたダンディCEOは、
もちろんPCなども相当使いこなせる方だったのですが(よぼよぼのジイチャンじゃなかったし。)、
なにか考え事をなさるときに、白紙のメモ用紙に、手書きで書きなぐったりすることが多かったです。
いつぞやなぞ、
「解決、解決、解決・・・」と。
延々、手書き文字が連なっているのをみたときは、
うーん。難題にぶつかっているのね、と非常にわかりやすかったです。(笑)
そうやって、なにかを書いたりしながら、
ご自身の考えをまとめたりなさっていたのでしょう。
役員の方の机の上などを見まわして、
足りなくなっているものを補充することがありました。
普段、ダンディCEOが手書き瞑想中にお使いになるペンは、太字1.0mmのものでした。
しかし、太すぎると感じていらっしゃったようなので、0.7mm程度を御所望。
でも、同じシリーズでは製造されていない。
ペンは、どうしても、とあるシリーズがお好き。 (ジレンマ)
→折衷案として、製品化されていた0.5mmタイプを注文。
→でも、0.5mmが細すぎてお気に召さないと困るので、
太字1.0mm と 細字0.5mm、2種類を半々で注文してみることに。
→備品の申請が非常にうるさい会社でしたので、わざわざ事情を、直接手配してくれる総務の女性に説明。
→総務の担当女性は、気がきかない、というか、秘書室の空気をあまりわかっていない。
→延々、事情を説明。
・・・・あー。くだらない。(爆笑)
ペンなど、書ければよい と思うのは、凡人の発想でしょうか。
気に入らないかもしれない、という状況をあらかじめ想定して、
別のタイプも複数ご用意する。
これが、わりと気難しい役員の方の場合は、本当に必要なことでした。
役員は、「腰が痛い」と言った。
とある日、ダンディCEOがつぶやいた。
「なんだか、腰が昨日から痛いな・・・。」
このCEO、別にオジイチャンじゃありません。
まだ40代の、おやぢっぽくないタイプの男性。
アクティブにスポーツをされていらっしゃる方でした。
「○○にある鍼治療に行きたいからお願い。」と一言。
え? それって、どこの鍼灸院のことだよ?
配属されて、まだ1週間足らずだったわたしには、まったくわからない。
なにか資料があるかと思って、デスクの中やファイルをひっくり返しても、まったく見当たらない。
こういう時、言った相手に聞けばいいじゃん、っていうのは、通用しない 状況でした。
よく使う、連絡先ファイルとか、作っておけよなー。と心の中で毒づく。
※どうしても調べるのに時間がかかってしまうような場合には、相手に確認してしまうというのもひとつの手だとは思います。(どちらがよりロスが大きいか、判断が必要ですね。)
しかし、基本的には、役員の方には、「不必要な思考」をさせてはいけません。
ご自身の業務に集中していただかなければいけませんので、わたしの場合は、このような対応をしておりました。
これは、ついた役員の方の性格にもよるかもしれませんけれども。
前任者が辞める際に、もちろんマニュアルを作成していっておりましたが、
アンタ、はっきり言って、こんな薄っぺらい、
アタリマエのことしか書いてないマニュアルなんて、
あったって、ちょっとしか役に立たないじゃないのさ。(心の声)
仮にも正社員で働いていたのなら、業務詳細、多岐にわたるマニュアルくらい、これ見たら一発でいろんなことがわかりますよ、位のもの、用意して退社しなさいな。
・・・というのがわたしの感想でした。(笑)
しかも、職種は秘書です。
マニュアルには書ききれないほどの、CEO個人のお好みであるとか、傾向と対策であるとか、必要です。
後任、もしくは、後任がすぐにはいないのであれば、資料として残す、
それがまずいのであれば、口頭伝授して職場を去る・・・というのが、本来じゃないでしょうかね。
肝心の筆頭秘書・和歌子(仮名)は、有給休暇中。
まわりの秘書さんたちに聞いても、全く知らないという。
他の社員たちも、知らないという。
わたしの場合、まったくの引継ぎなしで配属されているので、当然、そんなの、知るわけないですし。(笑)
さぁ、どうする、へっぽこ即席秘書よ。(笑)
とりあえず、地名からネットで検索しまくり。
何件かヒットしたものの、ここかなぁ~?というところであたりをつけて、資料を複数、印刷。
とりあえず、CEOに、「いつも行かれてますのは、こちらでよろしかったでしょうか。」と差し出してみて、相手の反応をうかがってみよう。
(実に簡単。変な顔をすれば違うのですし、うなずけば、あっているわけです。)
なんとかクリアし、鍼灸院に予約を入れ、
お車の手配をし、地図を持たせ、帰りの交通手段を確認して、CEOを送り出しました。
急に鍼治療に行くというので、スケジュールを確認し、
鍼灸院の方にも、「○○時にはそちらを出なければなりませんので、半端な時間なのですが、○○時には終了していただけますように。」と、細かいお願いもいたしました。
まだ、40代のCEOだったからよかったかもしれません。
これがお年寄りだったりしたら、やれ毎日のように、
胃が痛いだの、肩がこっただの、足が痛いだの、言いかねませんから・・・。
しかも、携帯に電話を入れない限り、
出かけたら出かけたっきり、帰ってこないようなイメージが、申し訳ないのですが、あったりしますから。(笑)
(痴呆老人と一緒にしちゃいけませんね。。。)
どこの秘書さんたちも、
こんなくだらないことで、苦労されてらっしゃるのでしょうか。
一箇所でしか秘書経験のないわたしには、想像するしかないのですが。
役員のこだわり 飴編
ダンディCEOは、顔に似合わず、甘党だったようです。
飴を、高そうな瓶に入れて、机の脇においてらっしゃいました。
日にもよるのですが、たいてい、朝、役員の方の机を拝見しますと、
あちこちに、飴の包み紙がちらかっていたものです。(苦笑)
※ゴミは、ゴミ箱に捨てましょう。
観察していてわかったのですが、どうやら、いちごミルク味がお好みのようでした。
とある日、「そろそろ、ストックの飴がなくなるなぁ。どっかで買ってこなくっちゃ。」
と思っていたら、気のきく社員さんに先をこされてしまいました。
銘柄は忘れましたが、ソーダ系のお味の飴だったように記憶しています。
いちごミルク飴とソーダ味の飴、念のため、2種類を飴玉用の高級瓶にまぜて置いておきました。
(気分は動物実験)
翌朝。
わたしが役員のお部屋のゴミ箱をチェックしますと。。。
一度、お口に入れたらしき飴、そのまま、ゴミ箱に吐き出してありました・・・。
また同じ飴を購入していただいては困りますので、
「なんだか、少々、お気に召さなかったらしいですよ。」と仕方なく、さりげなくお伝えして、
「今後はソーダ味は購入しないように」お願いしてみました。
その方へのフォローもあって、まわりの人たちは、
ソーダ味の飴を、おいしそうにボリボリ食べる羽目になりました。
いや、ほんと、おいしかったんですけどね。
役員のお飲み物 ミネラル・ウォーター編
わたしがついていたCEOは、そんなにワガママな方ではなかったように思います。
まず、お飲み物は基本的に、ミネラル・ウォーター、
特に、高級銘柄、というわけではありませんでした。
(わたしの場合、個人的には、VITTELかコントレックスが好きです。
ミネラル・ウォーターって、銘柄によって、味が全然違いますよね。)
毎朝、必ず、役員の出社と同時に、ミネラル・ウォーターをお出しします。
お顔を拝見したら、即座にお出ししなければなりませんでした。(笑)
健康志向が強かったこのCEO、ほぼ一日、ミネラル・ウォーターだけ出しておけば大丈夫でした。
(ランチのときは、専用フロアにて、好き勝手なものを飲んでいたんでしょうし、夜の営業活動中は、きっと高級なお酒を飲んでいたんだろうな。。。)
朝の時点では、冷蔵庫で冷やしておいたものをお出ししていました。
しばらく時間がたってしまっても、カップやボトルに残っているのであれば、そのままで大丈夫でした。
(ちなみに、わたしだったら、常に冷えているミネラル・ウォーターじゃないといやだけどな。)
別の役員の方は、ぬるいミネラル・ウォーターが好みの方などもいらっしゃって、
常に、冷やしてあるものと、冷やしていないもの、両方をご用意しておけば、まず大丈夫でした。
飲み残しのミネラル・ウォーターは、どうするのか。
翌日また出す?
答え:いいえ。
お部屋に山ほどあった、観葉植物に、あげていました。
もったいないなぁ・・・。
役員のお飲み物 珈琲編
やれ、どこそこの銘柄の高級珈琲を御所望になったり、
3時のおやつはどこどこの○○、という具合に、
ものすごく、贅沢というか、こだわりというか、
やりたい放題なんだろうな。
と思っていました。
意外に、普通でしたね。
珈琲も、ブルマンとかそういうものではなく、
企業に入っているベンダーマシンの、けっこう不味い珈琲で大丈夫とのこと。
(ちなみにわたしは、毎朝きちんと珈琲メーカーで入れた珈琲を飲む人間なので、不味くてあまり飲みませんでしたが・・・。)
わたしも君たちと、同じ珈琲を飲んでいるんだよ。 (社内共有意識の促進?)
そんなアピールが、あったのかどうかは不明ですが。
めんどくさくなくて、よかったです。(笑)
基本として、各役員の方のお砂糖やミルクの要不要は、
頭に叩き込んでおかねばなりません。
ブラックしかお飲みにならない方でしたので、楽チンでした。
例えばお砂糖。好みの量があるでしょう。
ミルクにしても、また、然り。
そんなメンドクサイところまで、面倒みたくないな。
(これじゃあ、秘書失格か・・・。)
