334 ドイツ滞在(その2)

 あくる日、タクシーで駅に向かい、ローカル電車でウルムへ向かう。城壁の中の教会の尖塔は世界一の高さだという。螺旋階段で登れるがその気はなかった。アインシュタインの生まれ故郷だそうである。原爆開発をチャーチルとルーズベルトにしつこく進め、それを実行させた張本人だ。ドイツに対抗して開発を進めたつもりが、その原爆は日本に落とされた。戦後、広島を訪れ深く慚愧の念に苛まれたそうだ。宿は城壁の外だったが、街中を散策すると水の流れの上に立つ民宿群にであった。ここに泊まりたかった。夕食は街中の屋台で。トルコ人の作るパエリヤを注文する。日本人と分かると多めに盛ってくれる。ソーセージも注文し、大ジョッキをあおる。ジョッキは返すと数マルク返金とある。そのまま持ち帰ってドイツ土産にした。2リットルはいる本当の大ジョッキだ。明くる日、ドナウ川沿いをさかのぼり、展示会場に向かう。  途中、日本人の子供ずれの女の人に声をかけられる。ここウルムには30人位の日本人が住んでいるそうだ。郊外の日本企業に勤める人たちだそうだ。深い緑色をした水を満々とたたえて流れるドナウ川。流れはかなり急である。川幅も狭い。とても「美しき青きドナウ」のイメージはない。堤防なしの川に落ちたらとても助からない気がする。3時間位歩いてやっとのことで会場に辿り着く。(平成7年6月)