315 O氏とイワシの刺身

 同じ単身赴任の社宅に住むO氏から誘われ、京急屏風ヶ浦駅前の小料理屋に行った。イワシの刺身が出てきた。脂がのってとろけるように旨かった。次の杉田駅近くに魚市場があり新鮮なものが入荷するのだという。イワシを刺身で食べるのは初めて。こんなにうまいとは知らなかった。それから病みつきになる。その後私は港北区の大倉山のまかない付き寮に移る。しかし、夕食を食べる人は少なく、私と外国人の研修生位であった。希望者が4人を割ると夕食は作らないと寮監がいう。「江藤さんが食べなかったらもう作らないから、頼むね」と言われた。しかし夜の20時15分から45分の間に食事を終えなければならないという制約があった。これでは皆夕食を敬遠するわけだ。

 ところで、暫くすると隣室にO氏が引っ越してきた。O氏は宮崎出身で実家は裕福とのこと。50歳になったら会社を辞めてブティックをやるのだという。今頃は青山でブティックをやっているのかもしれない。

(平成6年8月)