100歳の詩人、柴田トヨさんを描いた映画「くじけないで」(深川栄洋(よしひろ)監督)で、トヨさんの一人息子役を演じているのが武田鉄矢(64)だ。「恐らくトヨさんは、不幸せと一緒に歩くことが上手な人だったと思う。今の人はみんな幸せと歩きたがるが、そんなに歩けるわけがないですもんね」と語る。
武田が演じているのは、母親のトヨ(八千草薫)に90歳を過ぎてから詩作を勧める長男、健一役。どの仕事も長続きせず、競輪場通いに明け暮れる不肖の息子だが、母親思いの優しい心を持ち、詩集を自費出版しようと東奔西走する。
「シンプルな話なんですが、シンプルでなく演じることを要求されて、かなりくたびれました」と撮影を振り返る武田は、この映画は老い方についてとても大事なことを示唆しているのではと指摘する。
「映画の中に過ぎていった年月がきちんと描かれていて、それはトヨさんの詩も同じです。今年何歳か、だけが大事な人生なんてつまらない。多くの人がトヨさんの詩にひきつけられたのは、トヨさんを見ているような思いで詩を感じたから。こんなに機嫌のいいおばあちゃんは、宝物のように思えたんでしょう」
武田自身、若いころは老いの目標があったと打ち明ける。たとえば嵐寛寿郎のような、何も言わずにただ座っているようなおじいさんだ。「タイプは異なっても、鬢(びん)の白髪の生え方などに憧れがあったが、今は髪を染めたじいさんばかり。団塊の世代なんて、世の中を快と不快だけで判断してしゃべっている嫌なおばさんがいっぱいいる。トヨさんって、きっといいことを一つ、不幸の中から見つけ出す能力があったと思うんです。そういうおばあさんに、映画の中でぜひ出会っていただきたいですね」
16日、全国公開。(藤井克郎)
(この記事は産経新聞から引用させて頂きました)
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