解説: 1966年に実際に起きた「袴田事件」を基に、人が人を裁くということの難しさを描いた社会派ドラマ。『丘を越えて』の高橋伴明監督が、強盗放火殺人事件の容疑で死刑が確定した男と、その判決を下した裁判官の苦難の日々をあぶり出す。苦悩する裁判官に『いけちゃんとぼく』の萩原聖人。無罪を主張する元ボクサー役を『蟹工船』の新井浩文が熱演する。裁判員制度が始まった今だからこそ、この現実からわれわれは目を背けてはならない。
あらすじ: 昭和41年、放火された静岡県清水市の味噌工場から、刺殺された一家4人が焼死体で見つかるという事件が起きる。立松刑事(石橋凌)は元プロボクサーの従業員袴田(新井浩文)に目を付け、容疑者として逮捕するが物証はとぼしかった。裁判官として静岡地方裁判所に赴任した熊本(萩原聖人)は、主任判事としてこの事件を担当することになる。
☆映画の日、高槻ロコ9にて、また独占貸切上映・・贅沢だね!
誰が見ても明らかな証拠捏造、
無実の罪で41年間獄中に閉じ込められ、「拘禁症状」で精神に
異常をきたしているという「被害者」としか言えない彼の、
あまりに悲惨な取り扱われ方に、目を覆うしかなかった。
1日に10時間以上時に15・6時間以上に及ぶ連日の過酷な取調べ。
光を遮られた狭い部屋、複数の警官に怒鳴られ殴られ蹴られ、
人間としての扱いでは無い!と怒りと悲しみで観ている者は
やり切れない思いで一杯になるだろう・・。
この間によく狂わずにいられたものだと、その精神力の強さに驚く。
多々ある彼の悲しみを表す言葉とエピソードで、
「今の望みは、思い切り走りたい」という下りが一番心に突き刺さった。
この人は二畳程の狭小な空間に閉じ込められ続け、
外に出る事もままならないのだ・・。なんという残酷な仕打ち!
壁を背に摺り足でぐるぐる室内を廻る彼。
ついには聖書を食べてしまう精神破綻状態。
こうやって人一人、「殺されて」いくのだ・・。
無力な市井の人間に対してふるわれた権力の恐ろしさに怯える。
これは、誰の身にも降りかかるかもしれない災難かと思うと・・。
辛くて正視出来ないけれど、観なくてはならない作品だ。