姉に手配頂き、早速その翌週には、姉の出身大学付属病院(関西・妻の実家も関西)で姉の同期で親友の医師に検査からお世話になることになった。ここまでで約一ヶ月もかかってしまったが、関西に帰省し、年末までの一週間弱で検査、無理言って検査結果もなんとか出して頂き、年内に治療方針を決める、というスピード感で治療が開始できることとなった。
年末大学病院での内視鏡検査等の結果、“原発性肺癌‐非小細胞癌‐腺癌‐遺伝子変異有”という診断であった。原発巣は右肺であるが、がん細胞は細かく両肺に転移しており、切除不能、放射線治療も不能、抗がん剤治療のみが残された標準治療であるとのことであった。但し、抗がん剤では完治はせず、がんの進行を抑えるのみ、またがん細胞に抗がん剤の耐性ができるため、大凡一年で薬は効かなくなる、あといくつ効果のある薬があるかも何とも言えないと告げられた。西洋医学的には治る見込みがないということである(妻の前では話は出なかったが、姉からは5年もてば・・・・言われてしまった)。ちなみに強い咳込みにより、肋骨にヒビが入っていた。
治療は分子標的薬が使える型のがんということで、まずジオトリフという経口剤で治療という事となった。
担当医(姉の同期で親友)は、自分の家族が同じ症状であっても使う薬だとその詳細を説明してくれ、妻と僕が聞きたかった膨大な質問に長時間付き合ってくれた(すでに大学病院が年末休みに入っている期間であったが)。
ジオトリフによりあらわれやすい副作用は、
・下痢
・口内炎
・皮膚の異常
・爪の異常
等があげられ、継続的に使用することにより、肝機能の異常、腎臓の異常等も注意しなければならないとのことであった。
副作用を抑えるため、下痢を止める薬、口内炎の薬、皮疹をおさえる薬(各部位毎に)等、がんに対する薬以外に大量の薬を飲まないと(塗り薬もあり)いけないことも分かった。一度の購入量はスーパーレジ袋三袋になった。この時にはある程度読書等から知識を得ており、分子標的薬の影響は勿論、他の副作用を抑える薬からも体に悪影響が出てくるだろうと感じた。というかこのまま西洋医学の言う通りのことだけをしていたら確実に妻は死んでしまうと思った。
 
治療はこれら薬を飲むことが基本となり、今後は月一回の定期検査、肺のがんは脳に転移しやすいため三か月に一度頭部MRI検査を行うこととなった。西洋医学上“完治しない”病であるため、この薬は効果がある限り飲み続けることとなり、効果が見られなくなった段階で次の手段を考えるということとなる。また仮に検査でがん細胞と思われるものが目視できなくなっても、既に両肺にがん細は一度散らばってしまっているため、どこに微細ながん細胞が潜んでいるかわからず“完治”という診断はできないという事であった。つまり生きている限り、何らかの薬は飲み続けなければならいという事らしかった。
 
それでもそれ以外に選択肢は考えられず、その日(2017年12月29日)からジオトリフを飲み始めることとなった。
翌日から早速副作用が出始めた。下痢、口内炎、皮疹(特に顔)・・・・・今思い出すだけでも涙が出る。