2012年の卒業制作完成しました。 | 創形美術学校「たまには動画も観てみようじゃないか!」のコーナー!!

2012年の卒業制作完成しました。

はやいもので、もう震災から1年が経ちました。世間も色々な事がありましたが、
おかげさまで今年も卒業制作の良い作品が沢山生まれました。
みんなが元気になるような勇気を与えられる作品といえばこの作品でしょうか。
今回創形美術学校、メディア映像専攻で、創形賞を受賞したのは淀江菜都美さんのアニメーション作品。
「因幡のうさ男」が選ばれました。


$創形美術学校「たまには動画も観てみようじゃないか!」のコーナー!!-春


そして今回ゲスト審査員で、アートディレクターの佐藤直樹さんのチョイスで選ばれた審査員賞には、
原佳菜絵さんのクレイアニメーション作品「mother」が選ばれました。


$創形美術学校「たまには動画も観てみようじゃないか!」のコーナー!!-hara


物語のあらすじと解説を説明いたしますと、まず「因幡のうさ男」は以下の文章を参照してください。

「因幡のうさ男」・・・・・・・緻密な描写&練られた脚本の創形賞受賞作品。二人の間に昔、何があったのかは観客には伏せらているようだが、比較的付き合いだして間もない二人が主人公。お互いが繊細な心を持ち合わせているが故、度重なる些細なボタンの掛け違いに苦悩する二人、こんなに愛しているにも関わらず埋まらない距離感が見ていて切ない。同じような体験をした人は沢山いると思う。若者の恋愛は非常に不慣れでぎこちなく、全てが試練の連続だが、白兎(彼)の張りつめた思いはやがてサメの出現を許してしまう。しかしそこから物語はダイナミックに動き始める。日本神話の古事記に由来する因幡の白兎伝説をモチーフにしている本作品は随所に舞台の鳥取の映像が出てくる。アニメーションでありながらロケを敢行し実写の手法を多く取り入れた。詳細な地域を克明に描写、画面の設計にも相当なこだわりを見せる事で物語の存在感を増している。恋物語は破滅の予感を引きずったまま、ゆっくりとだがやがて感動のクライマックスに向けて走り出していく。自分なりのやりかたでいいんだと見ている人に優しく語りだす、今時の男女の有り様や成長していく姿をデリケートに描いた秀作。


そして原さんの「mother」については以下の文章を参照してください。

「mother」・・・・・・・・・どうしようもない事というのは誰の身の上にでも起こりうる。例えばそれは家族であったり恋人であったり、最愛の人を亡くしてしまうことだったりするのだけれども、その哀しさ、苦しさを一切表に出す事はせず、お母さんはすっかり年老いてしまった今も日常を生きている。孤独にうたた寝をする姿はやがてくる「死」をも予感させて見ていて切ない。だけどある夜母の袂に亡くなったはずの息子が降りてくる。夢か現実かどちらか観客にはわからない。お母さんは全然気付いていないのだけれども、その家はずっと昔からいつも思い出と共に愛で満たされているのだ。全ての人間がいつか迎えるであろう死という別れの辛さ、一切苦しみを表に出さずにいるお母さんをみて、卒展会場では涙を流す観客が続出。人が生きていく上でいやでも訪れる苦しみや悲しみ、それを乗り越える力はやっぱり人間の愛であることを作品は訴える。


ご興味のある方は学校へお問い合わせください。http://www.sokei.ac.jp/index.html