面接の日になった。保育士の面接、何着ていけばいい?スーツは要らないよな。ならば優しそうに見える感じ?無難なセットアップを選んで向かった。まだ工事が終わったばかりで片付いていない雰囲気ではあるけどめちゃくちゃキレイな雰囲気。そしてガラス張り。時間5分前に着いてチャリを停めて中を見たら、何やら会議中。しかも険悪そうな雰囲気。男性3人と女性1人。
なんというか、その、、、
裏社会の方々の事務所ですか?
と聞きたくなるにおいが漂っている。
時間1分前になったのでガラスのドアから入ってみる。
「面接にきました⚪︎です」と作り声で言ってみる。すると
組員が解散した
大慌てで。本気でここ、やばいのか。
チャカ隠した?
いや、ホントそんな雰囲気出てた。
「あー、こちらにどうぞ」
と呼ばれ、すごく広いお部屋に案内された。
「お待たせしました」
と出てきた若い男の人。保育園の経営とか子供と関わる仕事とか無縁にしか見えない。
失礼を承知で言いますが
趣味はサーフィンですか?
そしてお仕事は
AV俳優さんですか?
サーファーさんやAV俳優さん、かっこいい人多いです。浅黒い肌、着崩したワイシャツ、彼から出ている音は
ギラギラギラギラ
おばさん、眩しいのよ。あんたみたいなエネルギッシュな若者は。
言い方を変えると、あんたみたいな兄ちゃんと一緒に可愛い子供たちとは過ごせないのよ。
ここの募集広告を見てビビっと来た感覚はこっちのビビッとだったのかと。
そこから先はほぼ覚えていない。覚えていないんだけどAVB(AVボーイの略)がひたすら話しまくっていたな。
「うちは音楽に力入れるんですよ。クラシックとか童謡って意味ないじゃないですか。赤ちゃんの頃から洋楽聴かせてリズム感とか養いたいんですよ。それから離乳食はこだわりのもの使うんですよ。安全重視でここで調理しないで解凍して出します」と言って冷凍庫を見せてくれた。パッキングされた冷凍食がぎっしり。
「うちは保育士と呼ばないんで。制服も⚪︎⚪︎ブランドなんでテンションあがりますよ」と。
「保育園というかエンタメ施設です」
とも言ってたな。
保育園はエンタメ施設ちゃうわ
でもって保育園なのに夜は別の施設になるとか何とか。月に10万円くらいで小学生にいろーんなことを教えてくれるらしい。夕飯も出すとか。
どうやら私は最先端すぎる保育園らしくない保育園に来てしまったらしい。
「来週から来てくれるなら文房具買いに行ってもらったり色々準備も手伝ってもらいますねー」と言われた。
帰り際は組合員が見送ってくれた。
その後メールにてこちらからお断りして終わった。
いい社会勉強になった。気がした。けど疲れた。
AVBに言いたい。童謡やクラシックでも音感は養えますよ。そしてしつこいが保育園はエンタメ施設ではない。