美容院から出ると、もう外は暗い。

「秋の日は釣瓶落とし」という表現も、秋を失った東京には、もはやふさわしくないようだ。

なんとも、腑に落ちない、重い足取りで帰路へと急ぎ、表参道へと向かった。


まさか。

私は、「おぉ」と息を吐いて、立ち止まる。

そこには、せめて秋を取り戻そうとするのか、煌々と輝く黄金の並木路が走っていた。


今、私は身を刺す現実の中に立っている。

人間は秋を失い、秋を創る。


素晴らしき人間の前途に幸多かれと願う。