今年も、保全生態学演習と称して、1年生と一緒に岡山の自然を楽しもうと目論んでいる。


 先週、芝生などに生えている草を、名前と形態的な特徴を事前に解説して、後で20種類くらいは同定できるように学習してもらった。


 今週は、地面にコドラート(正方形の調査区域)を設置して、その中に見られる植物の名前と種類の数を調べてもらった。地面に30cmくらい顔を近づけての調査になる。昨年は、1m×1mで止めたので、中途半端だった。今年は、2m×2mのコドラートまでがんばって調べてもらった。おかげで、メリハリがあるいい結果が出た。

 

 


オカヤマのフィールドノート-草地の多様性01

 

 

 St.01は、日当たりのいい、月に1度くらいの芝刈りをしている芝生で、道にもなっている踏圧(とうあつ)のある場所だ。St.02は、午前中は明るい日陰で、昼からは日が当たる場所で、草刈りは、4ヶ月に1回くらい、人が踏むことはない場所だ。ご覧の通りの、植生状態だ。

 この場所を、コドラートの面積を換えて、植物の種類数を数えたのが、したのグラフだ。

 

 


オカヤマのフィールドノート-草地の多様性02

 

 

 St.01では、陽が当たるが、芝刈りの頻度が高いため、多年草が多い。また、踏みつけられるので、丈の高い草が生えることはない。ギョウギシバやコウライ芝、セイヨウタンポポ、ツボミオオバコ、ヘラオオバコなどくらいだ。

 St.02では、陽は半日程度当たり、草刈りの頻度は低いため、草がよく育っている。踏まれることがないので、丈の高い草が生えている。そのために、地面は湿っている。カラスムギ、イヌムギ、ヤエムグラ、ヤブジラミ、カラスノエンドウ、イチゴツナギ、キンミズヒキ、シロバナタンポポ、ノブドウなどが生えている。


 St.01は芝生という管理草地として、生育する植物の種数は少ないほうがいい場所で、それに比べると、St.02は半管理草地で環境条件がたようであることも手伝って、種類数は多かった。

 

 きっと、楽しい考察をしてくれることを期待しよう。



 この演習、理学部の正面の芝生や中庭で行うので、結構、他の学生や教員が見ているようだ。黒板に数式や化学式を書いての講義を横に、ワイワイと外で楽しんでいるように見えるので、うらやましがられることもある。しかし、夏には、蚊に刺され、陽に焼け、そこそこの我慢大会になる。でも、大学の4年間でフィールドワークの実習・演習が楽しめるのは、この時間と臨海実習の時間だけなので、我慢大会と思わずに思いっきり満喫してもらいたい。