先週末、岡山市西大寺の観音院で、会陽(えよう)が行われた。会陽そのものの解説については、他に譲ることにして、夜半から始まる宝木の争奪戦の前に行われていることを書こうと思う。
30年ほど前からは、夕方に小学生の宝筒の争奪戦が繰り広げられている。その後、大人の争奪戦までの数時間、さらに、機を盛り上げるために、地元高校の剣道部による祈願参りが20年近く行われている。お参りにこられた一般の方や会陽の見物人の中、マワシ一丁でのお参りは、かなり度胸がいる行事だ。
25人ほどの高校生が、ワッショイ!ワッショイ!と会陽の会場を練り、その間に、3度、垢離(こり)取り場で清水を浴び、そして、観音院本堂へ登場する。すでに、熱気で体から蒸気が立ち上っているのだが、本堂大床(ほんどうおおゆか)でのデモンストレーションと御福窓(宝木が投げ出される窓)からの清め水が撒かれると、一層湯気が上がる。

両手を挙げ、ワッショイ、ワッショイと掛け声をかけ、押し競まんじゅうのようなデモストをする。午前0時からの祭りを思わせる雰囲気が漂った。
このあと、円陣を組んで、ひとりずつ中央で、今年の目標や抱負を大声で祈願する。周囲の勢いで後押しされるが、高々25人ほどだから、周りを見てしまうと、1000人近い見物人の目に後ずさりしなうになる。度胸付けの1つとしてあるのだろうか、全国制覇した先輩たちからの伝統なのだろうか、何かよく分からない点はあるが、自分に負けない強い心を養う一つになっているように思う。技と体は全国レベルなので、後一つ、土壇場の心の強さを培ってほしいと思っていたが、半端なく、容赦なく、有無を言わさず、心の鍛錬もしていることを改めて知った。
実力が伯仲している県下の剣道部の多くの高校生が県一位を、全国の高校剣道部員が全国制覇を目標に稽古に励んでいるので、おいそれと成し遂げられるものではないだろうが、この地元の高校剣道部には県一位、全国一位を願ってしまう。
西大寺会陽の解説は、こちらをお勧めします。
* 西大寺商工会議所