毎年、この時期になるとカヤネズミの巣が気にかかる。全国カヤネズミ・ネットワーク のカヤネズミ調査の報告締め切りが11月30日なので、報告する情報をフィールドノート(本物)から拾い集めないといけないからだ。
残念なことに、今年はカヤネズミを見つけられるようなところに行けなかったので、報告は1件だけである。10月28日に発見した分だけだ。
草丈220cmのオギの群落内に、高さ160cmのところに、直径9.5cmのボール状の巣が見つかる。今年伸びたオギの稈(かん)に、ところどころ緑色の草が編みこまれてるので、新しい巣だとわかる。
他にも、いくつかあった。中には、親ネズミが巣から避難する後姿を目撃している。種子(たね)ができているオギの穂で作られた暖かそうなやわらかそうな巣もあった。
このカヤハラを、近くの小学生は、巨大迷路や秘密基地作りに使っている。5月頃に、このカヤ原には、カヤネズミがいるので、
むやみやたらと、カヤを倒さないようにしよう。
巣を見つけたら、後ずさりして、巣から離れよう。
作りかけや壊れかけの巣でも、触らないようにしよう。
などと、お願いしている。
実際に、カヤ原で遊ぶときには、同伴している。だいたいの生徒は聞いてくれているが、時々、巣ををとってくる子供たちもいる。
『自然との共生』などといっているが、無神経で傲慢な感じがする。一方的に、人が自然を痛めつけて来た結果、自分たちが危ないかな?と思ったら、自然が崩壊しないように配慮し始めた。昔、寄生虫についての講義を受けたとき、賢い寄生虫は、決して、宿主を殺さない。殺すと、寄生できなくなるからだと教わった。ボクたちは、賢い寄生虫ですらないかもしれない。自然は、人間を宿主殺しの最低の寄生者だと思っているかもしれない。
なんでも、かんでも、採って、持ってきてもかまわないという、自分勝手なことを自然の中でしないように諭すことになる。自分の心が痛む瞬間だ。巣を採ってくるだろうと結果がわかっていながら、巣があるカヤ原に子供を入れて遊ばせたのは、ボクだからだ。
悩みながら、5年が過ぎている。
答えは見つけられない。
「自分も悩むことはあるよ?」
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