あの人が嫌いな、私の好きな服ではなく
あの人が好きな、私の嫌いな服で会いにいきましょう。
あの人は気付いてくれるでしょうか。
私が失望していることに。
あの人は気付いてくれるでしょうか。
私が意志を突き付けようとしていることに。
私は大きな柄が入った派手な服が好きだけど、
あの人は清楚で女性らしい服が好き。
明日私は雑誌に載っていたスタイルそのものであの人に会いにいきます。
そのままです。
お店に行って、「○○に載っていた○ページの○○さんが着ていたやつ一式ください」と揃えてもらったもです。
あの人が好きな、私の嫌いな服。
私が負けたのではありません。
私が強くなるために嫌いなものを身に付けるのです。
嫌いなものを身に付けるのはとてつもなくストレス。
私の心は砂の城のようです。
しかし、
嫌なものほど強い気持ちが湧いてくるのです。
この先一生着ることはないかもしれない趣味じゃない服。
それでも今の私には必要なのです。
けれど、ワンピースとヒールのポリシーは捨てません。
いつものように精一杯背伸びして歩くのです。
香水もいつもの万人受けはしない甘ったるいバニラの香り。
せめてもの強がりで武装して、清楚な顔して会いにいくのです。
言葉にしない私の決意。
あの人は何と言うでしょうか?
「今日の服みたいなの好きだよ。
これからもそういうのがいいな。」
「いつもと違うね。
いつもの方が君らしいよ。」
私は明日静かに戦います。
あの人が好きな、私の嫌いな服。
あの人が嫌いな、私の好きな服。
あの人が嫌いな、私の好きな、私に似合うとあの人が認めてくれる服。