ピアノ伴奏じゃつまらない時… | Die Ruine der Walhalla

Die Ruine der Walhalla

In dieser Ruine findet man nichts.

オーケストラの多彩な音を聴いていると、ピアノだけで演奏した音が物足りなくなるということはご理解いただけるだろう。最初からピアノ曲として、あるいはピアノ伴奏による曲として作曲されたものであればまだ好いが、オペラのアリアなどをピアノ伴奏で演奏されると残念に感じることは少なくない。しかしながら、歌手のリサイタルに一々オーケストラを用意することは現実的ではない。ヴェルディやプッチーニをやろうとしたら50人では足りないし、モーツァルトを歌うにも最低十数人はいないと形にならない。楽譜通りに演奏することは諦めて、弦楽四重奏と管楽器数名で演奏するように編曲するのも一つの案であろうが、あまり聞いたことがない。

 

ところで通常のアリアはオーケストラ全体で普通に伴奏されているが、中には特定の楽器がソロで歌と絡み合う曲がある。そこで、伴奏の基本はピアノで妥協するとして、そこに特徴的な楽器を加えることを考えてみた。取り敢えずドン・ジョヴァンニから2曲。

 

まずは第一幕の後半の12番ツェルリーナのアリア Batti, batti, o bel Masettoである。独奏チェロが入ることで一気に雰囲気がオケ伴に近づいた。尚、アップライトピアノでは演奏できないようになっているところがあるのでご注意を。(笑)

 

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/bknk/battivc.pdf

 

そして第二幕のクライマックス、ウィーン版で追加された21番b Mi tradì quell'alma ingrata である。晩年のモーツァルトはクラリネット属の楽器を特別な意図をもって象徴的に使っているが、ドンジョヴァンニにおいては特に女性の純粋な愛の表現として使っている。そしてその究極がこのアリアである。

 

http://www.kit.hi-ho.ne.jp/bknk/21bCl.pdf

 

 

なお、ここでご紹介した編曲については私が原曲のスコアを元に勝手に作ったものであるが、編曲に関わる著作権(ってあるのか?)は気にせずに、自由にこの楽譜を印刷して演奏していただいても、あるいは更に手を加えて使っていただいても結構である。何とかラックとかいう団体にお金を払う必要はない。(笑)