サボテンとバントライン……ならロックバンド筋肉少女帯の往年の名曲ですが👇



ラーメンにシャンデリアといわれても多分ピンと来ない。もちろんピンとこないからこそ小説になるんですが。



風カオル著「ラーメンにシャンデリア」小学館より。


表紙のイラストがとてもいいですね。むしろ読み終わってから改めて見返すと良さが伝わると思います。なお装画は漫画家の相原実貴さん。


いわゆるお仕事小説ということになるのかしら。舞台は九州 福岡市。つまり博多とんこつラーメンということになりますね🍜

主人公は月川蓮華。かわいらしい名前ですが命名の由来はラーメンを食べるときに使うレンゲから。

高卒で、実家のラーメン屋〈満月亭〉を継ぐために、遊びもせず頑固にラーメン修行に励むマジメ一徹な、まあ、いわゆる "九州男児" ですね💪


そこに飛び込んできた "耽美系" お嬢さま山田トメ。



耽美系、まあ、ゴスロリとか場合によっては「地雷系」なんて呼ばれたりするのでしょうが。

田舎で自分の美意識を貫き、ついに実家を飛び出して自立を志すも、就活で心折れ😢、しかし帰るあてもなく文字通り涙にくれていた😭ところを満月亭のおかみ=蓮華の母親に認められ、とりあえず満月亭でアルバイトしていくことになりました。


耽美系の山田トメさんに、実直な九州男児 月川蓮華。名前がどう考えても逆じゃないかという気になりますが、この、ままならなさが本作のキモといえそう。

トメなりにがんばってラーメン屋で働こうとしますが、無骨な博多ラーメンは美しくも妖しい耽美の世界とは真逆。

そもそも食が細いトメはラーメン自体あまり食べたことがありません。最初は厨房に満ちる脂の匂いに気分が悪くなることも🤢


それでも夢のため慣れないラーメン屋の仕事を(耽美系ファッションで)がんばるトメ。

蓮華はなぜかそんなトメの姿を見ると、ほっとけないようなそうでないような不思議な感情におそわれイライラしてしまうのでした😅


わたしたちは他人と違う美意識を貫いている人を見ると、やれ「地雷系」などと呼んで軽んじたり、あるいは妙に持ち上げたりしますが、実際のところ当の本人は夢に向かって悩んだり努力してたりするだけだったりします。


やがてラーメン屋に似つかわしくないトメのファッションが世の評判となり、耽美系のファッションショップからお呼びの声がかかることになりました。

お世話になった〈満月亭〉からも去るときが……。


本作のもう一つのテーマが自分の "好き" をどう見つけるか。見つけたとしてそれをどう伝えるか。


ラーメン一筋の蓮華の好きなものはいったい何だったのか。読み終わるとラーメンが食べたくなることもまた間違いないでしょう🍜





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