言うまでもなく訳者は直木賞作家。その手による江戸期の人情本の現代語訳。河出文庫の古典新訳コレクション シリーズの一冊です。



島本理生訳「春色梅児誉美」河出文庫より。本来の作者は 為永春水 👇



カバーイラストはイラストレーター・漫画家の フライ 👇さんです。そういえばイラストレーターのことを最近は "絵師" っていいますね🎨



遊郭を舞台にした人情本。人情……といっても現代のわたしたちが想像するものと違って、まあ、ラブストーリーのことだと思えばいいかも。

つまり本作は江戸期を代表するラブストーリーってことですね。


悪徳手代の鬼兵衛(👈わかりやすい名前😳)に騙され大店の唐琴屋を追い出されてしまった若旦那の丹次郎。

その丹次郎を慕い、陰ながら支える芸者の米八。

そしてまだ子どもながらやはり丹次郎を慕い、支えようとする許嫁のお長。


ところが肝心要の丹次郎が優柔不断でぐうたらものだったりするから頭を抱えたくなりますが😓

まあ、だらしない男を支えるのが江戸娘の心意気ってものなのかも💪

もちろん男性読者の(いささか都合のいい)願望も含まれていることでしょう。今のライトノベルなんかとあまり感覚は変わらないかもしれませんね。


女性二人と男性一人の恋の駆け引きと連帯。運命のいたずらとすれ違い。それからスカッとする勧善懲悪。

カネで身を売る遊女なればこそ知る恋情に意地にプライド。それから嫉妬と駆け引き。


短い章立てで切られ、しかも一章一章に見どころが必ずあったりします。ところどころには都々逸や長唄などの文芸も。

それこそ昼ドラみたいにちょっとずつ読まれたのかもしれませんね📺

ちなみに訳者の島本理生さんはこの長唄や都々逸をどう訳せばいいかで試行錯誤したそう。


まあ、遊郭に限らず、江戸期の文化を過剰に美化するのも考えものですが、その辺りも解題の近世文学研究者の佐藤至子さんがしっかりフォローしてくださいます🙂


「天保の改革」で作者の為永春水は手鎖の刑を受け、その心労で逝去😢

たとえポリティカルでなくても真の表現者はいつだって 命懸け それは頭に入れておきたいことの一つです👇











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