ご存じ中華SFブームを全世界に巻き起こした傑作SFの文庫化です。文庫になっても重い。そして……高い💸
劉慈欣著 大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳 立原透耶監修「三体」ハヤカワ文庫より。
この中にある挿話「人力コンピュータ」のエピソードは短編にまとめられて👇のアンソロジーにも収められています。
そこから舞台は一気に現代に飛び、主人公となるのはナノマテリアル研究者の汪森。
世界中の科学者を襲った不思議な事件、そして自らの研究に対する執拗な妨害活動。
粗暴な態度の警察官 史強と不本意ながらバディを組み、調査のために既に高齢となった葉文潔の元へ🚓
その過程でプレイすることになるVRゲーム「三体」。「三体」とは……まあ、混乱のことだと理解しておけば間違いないかも😅
宇宙には星と星が互いに軌道を回り合う「連星」がたくさんありますが💞この連星を形成する星の数は偶数なのがこの宇宙のルール。
もし仮に三つの星で連星になれば✨軌道が複雑になり過ぎ、星が一つ軌道から飛ばされてしまいます💫
でも、もしあり得ないはずの三連星があり、そこに生態系があったとしたら、地球人類には想像もつかない奇怪なものとなるはず。
もし、そんな宇宙人と地球人が邂逅したら、それはむしろ地球人にとって破局的な結果をもたらすだけのものでしかないでしょう……😱
でも、まぁ、そんな "三体人" が宇宙にいたとしても、わざわざコンタクトを取るような地球人がいるわけないよね。そんな人類全体に破局をもたらせたがるような深い絶望感を抱いた科学者なんて……😱
みたいな話です。
文化大革命のみならず、本作は中国社会に限らず人類が抱える闇を描きます。
とはいえあまり深入りはせず、作者は社会を、あくまでエンタメの面白さを追求するための小道具として描くという考えのようです。
アメリカでもブームになり当時のオバマ大統領や、Metaの創業者マーク・ザッカーバーグもハマったとか。
「折りたたみ北京」の記事👆でも指摘しましたが、言論に対して抑圧的な中国にあってSFは数少ない(ただし政府の許容範囲内で)言論の自由が認められる分野で……した。
それはSFがフィクションだと明確にうたっているジャンルでもあったからですが、残念ながら最近どうやら中国政府の手が及びつつあるよう😔
確たる情報 ではない ので今後の精査が必要ですが、既に大市場となった中国に忖度する雰囲気が西側にすらあるのが困ったものです👇
スリリングでミステリアスな展開がどこか "DS陰謀論" を連想させて、案外火元はこの辺にあったのかもという気もしました😅
オバマやザッカーバーグがハマったの、リベラルにもこういう「陰謀論」を受け入れる(面白がる)素地が僅かながらにもあるのだなと連想させ、ちょっとひやっとするところがありました😅
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